2012 Fiscal Year Research-status Report
臨床検体に基づく実践的生体分子を標的とする天然由来分子標的抗がん剤の探索
Project/Area Number |
23510284
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
青木 俊二 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (60252699)
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Keywords | PCA-1 / DNA脱メチル化酵素 / 前立腺がん / 分子標的抗がん剤 / アポトーシス |
Research Abstract |
ヒトの前立腺がんおよび膵臓がんに高発現が見られ、増悪因子でもあるDNA脱メチル化酵素PCA-1の脱メチル化活性を阻害する化合物のスクリーニングを行った。すなわち、3-メチルシトシン含有オリゴDNAを基質として含むPCA-1酵素反応溶液に蚕リコンビナントFLAG-PCA-1を添加し脱メチル化酵素反応を行う。反応終了後、酵素反応溶液を用いてreal-time PCRを行い、非メチル化オリゴDNAの希釈系列を用いて作成した検量線から酵素活性阻害率を計算した。 このアッセイ系を用いて生薬や海綿を中心とする海洋生物の抽出エキス約500種類をスクリーニングした結果、約30種のエキスに活性を認めた。前年度までに、活性の見られたアスナロやゴシュユといった生薬の抽出エキスから活性物質としてフラボノイド二量体・putraflavoneやインドール型アルカロイド・evocarpineの単離に成功している。これら化合物の足場非依存性増殖に対する阻害活性を検討したが、特異的な作用は見られなかった。 また、今年度は、活性の見られたオトギリソウやチョウジの抽出エキスについて活性本体を明らかにすることとした。活性の見られたエキスは試験の結果を指標に各種クロマトグラフィーにより分画を行ない、最終的にはHPLCを用いて精製することで活性物質としてquercetinやisorhamnetinといったフラボノイド類を単離同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3-メチルシトシン含有オリゴDNAを基質として、蚕リコンビナントFLAG-PCA-1を酵素として反応を行うアッセイ系を用いて、生薬や海綿を中心とする海洋生物の抽出エキスをスクリーニングし、活性の見られたエキスから活性物質の単離に成功している。 しかしながら、PCA-1の活性を特異的かつ強力に阻害する活性物質の単離には至っておらず、そのような活性化合物の単離を目指してさらなる検討が必要と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、海洋生物の抽出エキスライブラリーや生薬の抽出エキスライブラリーからのPCA-1阻害活性物質の単離を継続し、より高活性の物質を探索する。特に、ポリフェノール類のような非特異的な酵素阻害物質を活性物質として単離することが多いことから、アルカロイド成分に焦点を絞るなどエキスの抽出方法等に工夫を加え、より高活性で選択性が期待できる活性化合物の単離を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度以降も、エキスの分離を行うためにクロマト担体や溶媒を購入する。また、アッセイに用いる細胞の培養のために、培養用の試薬や培地、アッセイに必要な各種プラスチック器具を購入する。また、日本生薬学会第60回年会(北海道)と日本薬学会第134年会(熊本)に参加予定。
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Research Products
(3 results)