2014 Fiscal Year Annual Research Report
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23510310
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
瀬戸 裕之 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 特任講師 (90511220)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 地域研究 / 中央地方関係 / 地方行政 / ラオス / 土地 / 森林 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,1975年以降に国家統合を進めながらASEAN地域統合に向けて地方分権化政策を実施しているラオスでの土地・森林政策の変化と実施過程について考察し,中央政府,地方行政,地域住民の間の相互関係を明らかにすることを目的とする。 最終年度である平成26年度は,次の研究課題を行った。 第1に,ラオス北部で行われている中国企業のゴム植林と結合した村の再編に関する研究について,補足調査を行った。2014年12月にポンサーリー県の2つの対象地域において資料収集・聞き取り調査を行い,中国企業のゴム植林投資と住民への影響に関する追加情報を得ることができた。この情報に基づいて,『Southeast Asian Studies』に提出している論文原稿を修正し,再提出した。 第2に,昨年度に引き続き,ラオスの社会と環境の変化について,2015年1月にシエンクアーン県で現地調査を行った。特に,1960年以降のラオス内戦期における山地部住民の移住とその後の生業変化について,戦争移住者がかつて居住していた村の状況を追加調査した。調査の結果,かつて住民が居住していた地域では,激しい戦闘と爆撃のため住民たちは移住を余儀なくされ,その後も治安の回復が遅れていた状況が明らかになった。 第3に,これまでの研究をまとめて,2015年3月に,『現代ラオスの中央地方関係-県知事制を通じたラオス人民革命党の地方支配』(京都大学学術出版会)を出版した。本書では,ラオスの地方行政の特徴である県知事制に着目し,一党支配体制下で党が県知事を通じて地方を支配するメカニズム,1991年に県知事制が形成された背景,1990年代後半から地方分権化政策が進められている背景について考察し,ラオスの政治体制の特徴を明らかにした。
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Research Products
(1 results)