2014 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジリアの都市再生計画から考察する近代都市計画理論の批判的検証
Project/Area Number |
23510331
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
服部 圭郎 明治学院大学, 経済学部, 教授 (90366906)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | ブラジリア / 都市計画 / 広域計画 / 都市研究 / 世界遺産 / まちづくり / クリチバ / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はブラジリアの都市再生計画の検証である。1957年のコンペをもとにつくられたブラジリアは近代都市計画理論を具体化した都市であった。しかし、その後、机上の理論が現実の都市生活ではうまく機能しないことが顕在化する。ブラジリアの都市計画は失敗であったとの批判が多く為されてきているが、その失敗とは具体的にどのようなものであったのか。また、それをブラジリアはいかに克服しようとしているのか。 特に、ブラジリアとは対照的に都市計画の成功事例として広く知られることになったクリチバの元市長であったカシオ・タニグチ氏がアリューダ州知事が就任してから、ブラジリアの都市計画に携わり、ブラジリアの都市再生計画のあり方を検討した。タニグチ氏はブラジリアの都市再生のためにクリチバの元市長であるジャイメ・レルネル氏、元環境局長であった中村ひとし氏、また建築等を担当した元カトリック大学パラナ校の建築学科教授であったフェルナンド・カナーリ氏など招聘したのだが、本研究では彼らに取材を行い、その計画哲学等を把握した。 また、ブラジリアの現状の情報・資料、特に定量的に把握できるものを積極的に収集し、整理した。人口,産業構造,交通といった基礎データ,ブラジリアの発展の歴史,地区ごとの特性,社会経済データ,主要人物,などの体系的な整理を試みた。 本研究の企画時点でブラジリア州知事であったホセ・ホベルト・アリューダ氏は、その後2010年2月に収賄で逮捕された。その結果、アリューダ氏が招聘した前述のタニグチ氏もブラジリア市を離れることになり、当初、想定した都市計画はそのまま宙に浮いてしまった。この点から、本研究はいろいろと難しい課題に直面したが、それでもブラジリアの現状の情報を整理し、そして、また具体化はされなかったが、その新しい将来構想等を理解し、その背景にある都市計画理念等も把握することができた。
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Research Products
(3 results)