2011 Fiscal Year Research-status Report
保健医療福祉施設における職員間暴力防止教育プログラムの開発・導入に関する研究
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23510350
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
日隈 利香 鹿児島大学, 医学部, 助教 (90381186)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ハラスメント / 離職問題 / 医療機関 / 福祉施設 / 保健施設 / 看護師 / 人間関係 / eラーニング |
Research Abstract |
平成23年度は、保健医療福祉施設における職員間暴力防止教育プログラムの開発・導入に向けた基礎資料を得るために、44都道府県(東日本大震災の影響を考慮し、岩手、宮城、福島の3県を除外)の医療・福祉機関に勤務する看護師を対象に『看護職員間の人間関係と離職問題に関するアンケート調査』を実施した。今回、1930か所の施設に郵送し、814名から研究協力を得る事が出来た。回答者の平均年齢は44.4±10.2歳であり、回答者の42.9%が臨床経験20年以上の看護師であった。 研究協力者の62.5%は現在の仕事に不満を抱えており、全体の64.3%が「この1年間に仕事を辞めたいと考えたことがある」と回答した。職場内の人間関係については67.7%の人が「この1年間に職場内の人間関係に悩んだことがある」と回答し、多くの職場で職員間の人間関係に問題が生じていた。職場内の課題として、31.6%の人が職場内の「パワハラ」を挙げていた。現に「この1年間に同じ職場の職員から怒鳴られたり殴られたりしたことがある」人は全体の24.3%に上り、ハラスメントを行う職員として最も多かったのは「医師」54.0%で、次が「管理職・所属長」21.2%であった。 ハラスメントの影響として、48.5%の人がハラスメントを受けた後に「仕事を辞めたくなった(55.6%)、自分に自信が持てなくなった(36.9%)、何度もその場面の記憶がよみがえった(34.8%)」と回答しており、ハラスメント問題は、看護職員に深刻な影響を及ぼしており、仕事への意欲消失にもつながっている事が明らかになった。 しかし「ハラスメントが起きた後、施設内で何らかの取組みが実施された」と回答したのは全体のわずか21.7%であり、 63.6%の人が「ハラスメントによる問題は解決していない」と回答するなど、多くの職場でハラスメント対策は不十分であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成23年度に全国の保健医療福祉施設に勤務する看護師を対象に質問紙郵送調査と半構造化面接を実施する予定であったが、東日本大震災の影響等のため調査地区の再検討及び再構築に時間を要してしまい、質問紙郵送調査実施そのものに遅れを生じてしまった。また研究の遅れに伴い、保健医療福祉施設に勤務する看護職員への半構造化面接協力依頼に悪影響を及ぼし、当初平成23年度に計画していた半構造化面接の実施が出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は新たに1名の研究分担者を加え、看護職員に必要な職員間暴力防止プログラムを開発するために、次のように進めてゆく予定である。 (1)平成23年に収集した国内外の論文や文献、資料を分析し、現在実施されている保健医療福祉施設に勤務する看護職員を対象とした職員間暴力防止教育プログラムの内容を明らかにする。(2)保健医療福祉施設に勤務する看護職員間暴力の実態を明らかにするために(1)で得られたデータを基に、研究協力者と審議を重ね、インタビューガイドを作成する。追加メンバーとして研究分担者の承認が得られた場合には、研究分担者とも審議を重ねる。(3)研究協力許可が得られた職員間暴力に直接的・間接的に関与したことがある保健医療福祉施設に勤務する看護職員を対象に半構造化面接を実施する。(4)半構造化面接の内容はICレコーダーに録音し逐語録を作成する。(5)作成された逐語録の内容を研究分担者及び研究協力者と共に分析を行う。(6)これまでの一般的な職員間暴力防止プログラムに調査で得られた新たな視点を統合することで、現在の社会情勢や保健医療福祉機関の特性を勘案した新たな教育研修プログラムを作成する。(7)教育研修プログラム作成の一環として、新たに職員間暴力防止マニュアルを作成する。(8)鹿児島県内の医療保健福祉施設に勤務する看護師に研究依頼を行い、作成した職員間暴力防止マニュアルを施設内で活用していただく。(9)職員間暴力防止マニュアルを活用していただいた研究協力者に質問紙調査を実施し、その結果を研究分担者及び研究協力者と協議し、職員間暴力防止マニュアルの改訂を行う。(10)eラーニングシステムを活用した職員間暴力防止研修に関するコンテンツを作成し研修基盤を作成する。(11)eラーニングシステムを活用した研修と集合研修を組み合わせたブレンディング法を用いた職員間暴力防止プログラム教育研修を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費使用計画は以下の通りである。I.国内旅費:(1)平成23年度に実施した全国調査「看護職員間の人間関係と離職問題に関する質問紙調査」で得られた研究成果を、看護学会(精神看護、看護総合など)や社会福祉学会等で発表する。(2)研究分担者及び研究協力者と研究調査に関する打合せや学会発表、成果発表のための話し合いを行う。(3)eラーニングコンテンツを作成、運用している専門機関との打ち合わせを行う。(4)得られたデータをさらに詳しく分析し、精度の高い職員間暴力防止マニュアルを作成するために、専門機関が開催している統計セミナーに参加すると共に新たな知見を得る。(5)学会や学会雑誌、各種研修等より、新たな研究資料を収集する。(6)研究分担者及び研究協力者と話し合いを行い、看護職員を対象にした、eラーニング研修用のコンテンツを作成すると共に、高い職員間暴力防止マニュアルを作成し、職員研修に向けた準備を行う。II.謝金:(1)専門知識の提供者に対する謝金 (2)研究補助員を雇用し、半構造化面接にて得られたICレコーダー録音記録より逐語録を作成したり、eラーニングコンテンツ作成したりする。III.その他:(1)研究分担者及び研究協力者間及び専門知識提供者、研究補助員間、学会や専門機関等との通信費(切手代、電話代等)(2)学会参加費(研究責任者及び研究協力者、研究分担者等)及び研究成果投稿経費 (3)統計セミナー参加費 (4)職員間暴力防止マニュアル作成・印刷費 (5)eラーニングコンテンツ作成、運用、管理費 (6)アンケート作成(印刷代)及び実施(切手代)(7)事務用品 (8)資料収集代及びコピー代
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