2012 Fiscal Year Research-status Report
保健医療福祉施設における職員間暴力防止教育プログラムの開発・導入に関する研究
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23510350
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
日隈 利香 鹿児島大学, 医学部, 助教 (90381186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日隈 正守 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (70260750)
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Keywords | ハラスメント / 離職問題 / 医療機関 / 福祉施設 / 保健施設 / 看護師 / 人間関係 / eラーニング |
Research Abstract |
平成24年度は,平成23年度に実施したアンケート調査結果を分析し得られた研究成果を日本看護学会(精神看護及び看護総合)や日本社会福祉学会で発表したほか、日本看護学会論文集(精神看護及び看護総合)に成果を発表した。また学会発表後には、看護協会で職能委員を務める医療保健福祉機関に勤務する看護師を対象に研究報告及びハラスメント防止に関するミニレクチャーを実施した。その他、当初東日本大震災等の影響にて予定より研究が遅れていたが、新たに1名の研究分担者を加え、研究協力者と共に審議を重ねてインタビューガイドを作成した。その後それを基に、研究協力が得られた職員間暴力被害経験がある保健医療福祉機関に勤務する看護職員12名に半構造化面接を実施した。職員間暴力被害経験者は、男性女性に関係なく、勤務経験1年目の新人看護師から30年近くのベテラン看護師まで多岐に亘っていた。加害行為者は、上司や医師だけではなく先輩看護師や同僚、後輩等様々であった。被害者が受けた具体的な暴力の内容としては、「患者の前で先輩看護師から胸をつかまれた」、「殴られそうになった」、「面と向かって容姿をみっともないとけなされた」、「机を叩きながらバカかと言われた」、「無視された」など様々な場面で暴力を受けており、被害者の多くがその後、食欲不振や下痢等の消化器症状や過度の緊張による不眠等の体調不良を訴えていた。ハラスメント被害に遭ったあと誰にも相談出来ずにずっと悩んでいる場合も多く、仕事を辞めたいと考える職員が多いという結果であった。アンケート調査結果及びハラスメントに関する国内外の論文や資料等を分析すると共に、国内で職員間ハラスメント防止研修を提供開催している複数の専門家とハラスメント被害者支援及び加害者防止に関する専門的知識の教授をいただき、新たにeラーニングシステムを活用した職員間暴力防止に関するシステム基盤を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は新たに研究分担者を加え、前年度実施が遅れていた職員間暴力被害を受けた看護職員14名への半構造化面接を実施し、逐語録を作成した。現在は、作成した逐語録を基に半構造化面接結果の分析を慎重に実施しているところである。その他、平成23年度に実施したアンケート調査を分析し、3つの全国大会にて学会発表を実施すると共に学会論文集にて研究成果を発表することが出来た。また、学会発表後には、看護協会職能委員を対象に、研究成果報告書とハラスメント防止に関する資料を基に、ミニレクチャーを実施することが出来た。アンケート結果や国内外の職員間ハラスメントに関する論文等を分析するとともに、職員間暴力防止研修を実施している専門家と話し合いを行い、ハラスメント防止対策に関する専門知識を得た。これらの成果を統合し、被害者支援対策を実施すると共に、被害者が望んでいる被害者対策を一般の医療保険福祉機関に勤務する多くの看護師に認知していただくための専用HPを立ち上げ、eラーニング教育を実施出来るようにシステム基盤を作成することが出来た。これらのことから、本年度の研究は、ほぼ達成することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
I. ハンドブック作成: ①これまで実施した研究結果を分析すると共にH24年以降に新たに作成された国内外の論文や文献、関係資料を分析し、医療保健福祉機関に勤務する看護師に活用されているハラスメント防止対策ハンドブックのベースを作成する。②作成したハラスメント防止対策ハンドブックを研究協力者と審議し、医療保健福祉施設現場で実際に活用しやすい内容となるように校閲する。③職員間暴力防止研修を実施しているハラスメント防止対策の専門家に指導・助言を受け、これまで作成したハラスメント防止対策ハンドブックの精度を高める。④現場の声や専門家の校閲を受け、医療保健福祉機関に勤務する看護師が加害者にならないためのハンドブック及び被害者支援対策ハンドブックを作成する。⑤鹿児島県内の主要な医療保健福祉機関に勤務する看護師長に作成したハンドブックを配布する。II. eラーニングシステムを充実させていく。:①ハラスメント防止対策に関するeラーニングコンテンツを作成、運用している専門機関職員eラーニング教材の充実を図る。②全国の医療保健福祉機関に勤務する看護師がいつでもどこでも使用できるように、加害者にならないためのハンドブック及び被害者支援対策のためのハンドブックをHPに掲載し、興味のある方が活用できるようにする。III.鹿児島県内の主要な医療保健福祉機関に勤務する看護師長を主な対象としたハラスメント防止のための研修会を実施し、eラーニングシステムを紹介し自分の空いた時間に活用していただくことで、研修会で得た知識の内容を再度確認し知識を深めていただく。IV.希望があれば、医療保健施設に勤務している職員向けのミニ研修会を実施する。V.学会発表:これまで実施した研究を研究分担者及び研究協力者と分析し、日本看護学会で発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
I.旅費:①研究分担者と共に、平成24年度に実施した半構造化面接で得られた研究成果を学会発表(看護学会、社会福祉学会)する。②研究分担者及び研究協力者と研究調査をまとめるための打ち合わせやハンドブック作成のための打ち合わせ、学会発表や成果発表、職員研修会実施のための打ち合わせを行う。③eラーニングコンテンツを充実させるために、職員間暴力対策やコミュニケーションスキルアップ研修等の専門的研修を受講すると共に、各専門家との話し合いや知識の教授を受ける。④eラーニングを職員研修に導入している専門機関職員と話し合いを行う。⑤得られたデータを詳しく再分析し、精度の高い研究成果資料を作成するために、専門セミナー(統計セミナー、スキルアップ研修等)に参加する。⑥新たに発表された学会論文資料やその他の研究資料、専門雑誌や書籍を収集する。II.謝金:①専門知識の提供者に対する謝金 ②ハンドブックやeラーニングコンテンツを作成するために研究補助員を雇用する。③ハンドブックやeラーニングコンテンツ作成を補助する研究協力者に対する謝金。III. その他:①既存のeラーニングシステムコンテンツ見直し修正、作成費用 ②eラーニングコンテンツ更新費用 ③eラーニングシステム運用、管理費等 ④eラーニングシステムに関する通信費 ⑤ハラスメント防止対策ハンドブック及び研究報告書等作成経費、校閲経費、印刷経費 ⑥研究成果投稿経費 ⑦論文等校閲経費、翻訳経費 ⑧学会参加費 ⑨専門研修セミナー参加費 ⑩事務用品購入経費 ⑪通信費(郵送代)⑫研修会場経費
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Research Products
(6 results)