2013 Fiscal Year Annual Research Report
ウィトゲンシュタイン哲学に基づく意味のデフレーショナリー理論の研究
Project/Area Number |
23520020
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
重田 謙 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (30452402)
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Keywords | ウィトゲンシュタイン / 意味論 / デフレーショニズム / 独我論 / 懐疑論 |
Research Abstract |
これまで,後期ウィトゲンシュタインの意味の理論を「ウィトゲンシュタイン哲学に基づく意味のデフレーショナリー理論(DMLW)」と名づけて独自に定式化し,その理論的な可能性を追求してきた.今年度の主要な研究成果としては,意味という実体の存在と独我論の関係についてつぎのような新たな展望を獲得できたことをあげることができる.論文 “Fomulation of Grammar of Sensations”(2013)の執筆を通じて,意味という実体の存在を否定すること(=DMLWの基底となるテーゼ)によってはじめて,私的言語を批判できること,したがって独我論を批判できるという展望を得た.つまり, 1* 独我論批判 → 私的言語批判 → 意味実体批判 であり,逆に言えば, 2* 意味実体の存在を肯定 → 私的言語は可能である → 独我論は妥当である となる.ところが,ほとんどすべての意味の理論は,意味実体の存在を肯定する.すると,もし私のこの見解が妥当であるとすれば,それらの理論の提唱者たちはみな独我論の妥当性を容認していることになる.しかしすくなくともウィトゲンシュタイン研究者で独我論を肯定する者はほぼ皆無であると言える.したがって彼らの見解は根本的な不整合を孕んでいることになる.このようにこの新たな展望は存在論にとってもきわめて重要な意義をもつ.現在,この論点について論文を執筆中である(「独我論は論駁されたのか-意味の実在論と反実在論の対立の帰趨-」(仮題))
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Research Products
(2 results)