2011 Fiscal Year Research-status Report
『畸人十篇』とその朝鮮・日本における思想的影響に関する研究
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23520055
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柴田 篤 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (00117128)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 天主教 / 畸人十篇 / マテオ・リッチ / 朝鮮 / 日本 |
Research Abstract |
『畸人十篇』とその朝鮮・日本における思想的影響に関して、本年度は以下のような研究を行った。(1)台湾(国家図書館、中央研究院等)及び国内(内閣文庫、国会図書館、香川大学図書館等)に所蔵されている『畸人十篇』の版本や写本の調査を行い、刊行時期、序文の異同など書誌学的な研究を行った。(2)『畸人十篇』の重要な対話者の一人である徐光啓に関する資料を調査・収集し、当該対話の背景や内容の分析を行った。(3)『畸人十篇』と『天主実義』の関係性について、使用語句の異同等を中心として分析・検討を行った。(4)以上の調査や分析・検討の成果を基にして、『畸人十篇』第一篇・第二篇の訳注(既発表)について、再検討と修正を行った。(5)以上の調査や分析・検討の成果を基にして、『畸人十篇』第三篇・第四篇の訳注を新たに行い、「『畸人十篇』の研究―第三篇・第四篇訳注稿―」という題の論文を、『哲学年報』第71輯に発表した。(6)平成23年11月4日に日本教育会館(東京都)で開催された東方学会のシンポジウム「朝鮮朝後期の社会と思想」の討論に参加して、『畸人十篇』の朝鮮における思想的影響を考察するための様々な知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『畸人十篇』も諸版本の調査は韓国に関しては次年度に行うこととしたが、台湾及び国内に関しては、順調に行うことができた。『畸人十篇』の内容分析や周辺事情の検討なども概ね予定通り行うことができた。『畸人十篇』の訳注に関しては、第一篇・第二篇の改訂と共に、新たに第三篇・第四篇の訳注を行うことができ、既に十分の四ができたことになり、全訳中に向けて順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
『畸人十篇』とその朝鮮・日本における思想的影響に関して、本年度は以下のような研究を中心として行う。(1)本年度実施できなかった韓国を始め、台湾及び国内に所蔵されている『畸人十篇』の版本や写本の調査を継続して行う。(2)関連資料の調査・収集・分析に努めると共に、特に『畸人十篇』と『天主実義』の関係性について、内容分析を行う。(3)『畸人十篇』第五篇以降の訳注を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度に実施できなかった韓国における調査など、引き続き版本の調査を行うために旅費を使用すると共に、関連資料の収集等のために物品費を使用する。また、文献の複写も継続して行うと共に、収集資料の整理等のために人件費・謝金を使用する。
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