2013 Fiscal Year Annual Research Report
弁論術から美学へ――美学成立における古代弁論術の影響
Project/Area Number |
23520121
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡辺 浩司 大阪大学, 文学研究科, 助教 (50263182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田之頭 一知 大阪芸術大学, 芸術学部, 准教授 (40278560)
伊達 立晶 同志社大学, 文学部, 准教授 (30411052)
石黒 義昭 大阪歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (40522785)
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Keywords | 弁論術 / 美学 / 修辞学 / バウムガルテン / ライプニッツ / キケロ / レトリック / マイアー |
Research Abstract |
本研究課題は、バウムガルテンが古典弁論術の体系を変容ないしは利用して美学を創建したのではないかという仮定のもとで、美学成立にさいして古典弁論術がどのような影響を与えたのかということを究明するものである。その究明のために、バウムガルテン『美学』の精読といういわゆる哲学史的な視点からではなく、弁論術から美学への変容という視点から研究をおこなった。つまり紀元前後から近現代までかなり大きな時間枠を設定し、弁論術や哲学のみならず文学や音楽や美術などの諸芸術の変容もふまえて『美学』の成立状況を大きく把握しようと試みた。 平成25年度には、バウムガルテン美学の成立直前の当時の状況を確認すべく、マイアーの『あらゆる美しい学の基礎』の研究と、バウムガルテン美学における弁論術の役割とに中心をすえた。これらの研究からは、①マイアーの美学とバウムガルテンの美学との関係、②カントが美学なる用語を用いなかった理由、③バウムガルテンが弁論術を変容したのではなく利用したこと、④美学と弁論術とは共通感覚を前提としていることが分かった。最終年度における研究成果発表は、2回の研究会/講演会、国際会議での口頭発表が1件、論文2点、邦訳書が1点となっている。さらに平成25年度は本研究科課題の最終年度にあたり、3年間の研究成果をまとめるべく冊子体の研究成果報告書を作成し配付した。この報告書は、研究代表者・分担者・協力者・招へい講師による論文8点と邦訳1点を含む論文集であり、内容も当初の研究計画通りキケロから現代まで、弁論術や美学から文学、美術、音楽までの論考となっており、3年間の研究が実り豊かだったことを証している。また3年の間に「ヘーゲル研究会」と「マイアー研究会」を開催し、ヘーゲル『精神現象学』とマイアー『あらゆる美しい学の基礎』を精読したが、これらの研究会での研究成果はまだ発表段階に至っていない。
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Research Products
(7 results)