2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520123
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
京谷 啓徳 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (70322063)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 教皇 / 即位儀礼 / ポッセッソ / アッパラート / 凱旋門 / ローマ |
Research Abstract |
ポッセッソ研究の基本文献たるFrancesco Cancellieri, Storia de’ solenni possessi de’ sommi pontefici(Roma, 1802)を道しるべとし、劇場祝祭の観点からポゼッソに関する情報に富む、Cruciani, Teatro nel Rinascimento Roma 1450-1550, Romaも用いながら、ルネサンス期の教皇のポッセッソについての、テクストと図像双方の一次資料の収集と整理をおこなった。教皇庁の公式の記録はもとより、ポッセッソの式次第の準備・実行に大きな役割を果たした教皇庁式部官ヨハンネス・ブルクハルトの日記、同時代のローマの祝祭・式典についての情報に富むステファノ・デッリンフェッスーラの日記、その他同時代人の書簡などの資料収集をおこなった。ついで、ポッセッソの沿道の装飾に関する調査研究として、15、16世紀当時のローマ地図を利用し、上記の調査結果と照らし合わせ、ポッセッソの行程を確認した。その上で、その沿道の各種装飾とその装飾がなされた場所との関係について、装飾の注文主、装飾形態などから総合的に考察をおこなった。また比較事例として、ヴェネツィア共和国における総督と祝祭の関係についても調査をおこなった。さらに、近代市民社会におけるポッセッソの構成要素の受容に関する調査研究として、ポッセッソで用いられた仮設凱旋門やタブロー・ヴィヴァンが、近代以降の市民社会においていかに受容されていったかについての事例も収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績の概要に示したように、当初の研究計画に従い、おおむね順調に研究目的が達成された。ポッセッソに関する基本的な資料に基づき、テクストと図像双方の一次資料の収集と整理が進行した。ただし、健康上の理由のため、今年度は当初予定した海外調査をすることが叶わず、資料調査に関しては、国内の図書館や研究機関等に所蔵されるものを中心に行うこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に記載した、ポッセッソにおけるタブロー・ヴィヴァン(活人画)の使用に関する調査研究、ポッセッソと関連事項との比較研究(宗教行列との関わり、古代の凱旋行列との関わり、世俗君主の凱旋入城との関わり、カンピドーリオの劇場(1513)との関係)、バロック以降のポッセッソに関する調査研究、近代市民社会におけるポッセッソ構成要素の受容に関する調査研究等を、海外の図書館における調査や国内研究機関の調査等により推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ヨーロッパ主要図書館調査のための外国調査旅費、日本国内の研究機関所蔵の資料を調査するための国内調査旅費、および研究関連の書籍購入のための図書費等を予定している。
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Research Products
(1 results)
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[Book] TBS2011
Author(s)
京谷啓徳ほか
Total Pages
203
Publisher
『世界遺産ヴェネツィア』展図録