2013 Fiscal Year Annual Research Report
福永晴帆研究―客観的評価の確立と教育学研究への展開―
Project/Area Number |
23520173
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
松久 公嗣 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (00380379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 隆之 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (70572056)
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Keywords | 福永晴帆 / 近代日本美術史 / 宗像大社 / 模写 / 美術教育 / 洋風表現 / 文化財保存 |
Research Abstract |
全国の美術品関連業者を調査することで,晴帆筆「軍旗図」を発見し入手することができた。これは,昨年度の研究でまとめた晴帆の画歴の内,1924年の天皇拝謁を裏付けるもので,晴帆直筆の箱書き等によってその詳細が確認できる。また,拝謁時に持参した作品が皇室以外の場所に現存するとは想像していなかったため,この作品を発見できた資料価値は高い。今年度はこの資料作品の他に3点の掛軸作品を入手することができた。 また,本学の「ものづくり創造教育センター」が完成し,競争的スペースの使用が可能となったことから,新たな研究スペースを活用した模写研究ならびに資料のとりまとめを重視するとともに,教育界への研究成果の還元を意識したデジタル化を促進して,研究計画の一部を変更した。これまでの晴帆作品(掛軸・まくり・色紙)は写真データ化し,襖絵と腰障子絵は学内予算を併用することで,より効果的な研究成果の発表が可能となるように,超精細画像処理によるデジタル化を試みた。 3年間の研究によって,本研究の対象となる福永晴帆とその作品について,視覚的効果の高い模写による実践的検証を含めた一定の客観的な評価が確立でき,2014年6月に予定する展覧会によって宗像大社の襖絵を中心とした研究成果を発表することが可能となった。 研究成果はポートフォリオ方式でまとめているが,学校教育でのカリキュラム開発を目的としていることから,急速に拡大するタブレット型端末機器を用いた教育に対応可能なように,学内予算による超高精細画像処理を導入し,継続的に研究の成果を社会に還元するための資料保存の方法を修正して対応している。 将来的には本成果を基とした保存修復事業の申請と全ての成果をまとめた『福永晴帆展』の開催を目指しており,3年間の研究によって新たな研究の基盤を構築できたと考える。
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