2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520210
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
黒石 陽子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40247268)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 黒本 / 青本 / 赤本 / 黄表紙 / 合巻 / 豆本 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は月1回のペースで研究例会を実施し、最終的に8作品の草双紙作品の研究成果をまとめ、『叢 草双紙の翻刻と研究』36号に掲載することができた。 このうち1作品は韓国国立中央図書館所蔵の初期草双紙で、国内ではまだ所蔵が明らかにされていない貴重な一作品である。これについての書誌調査並びに翻刻、内容の解説を示すことができ、大きな成果を上げることができた。 それ以外に『遠眼鏡茂右衞門』『敵討錦女帯』『[かまた]』はいずれも初期草双紙で、近世期における米相場の実際の一面を示す絵柄や、近世における敵討ちの実相を示す内容、また浮世草子を種本としながら、初期草双紙に作る上で、絵の描き方に大きな工夫がなされている状態が具体的に明らかとなった。 一方初期草双紙よりも後の時期に出された『新田義貞一代記』は近世中期における一代記ものの作られ方を如実に示す作品で、初期とは異なってくる発想を考究する上で貴重な資料である。書誌の厳密な調査、内容の検討により、本の特色を明らかににすることができた。さらに後期の草双紙である合巻については『忍弾仇汐汲』についての翻刻と考察が行われ、当時の歌舞伎界と草双紙との関係性についてを具体的調査によって明らかにすることができた。また歌川国芳が描いた合巻『花咲誉爺魁』は「花咲かせ爺」の話を国芳が当代の読者の好みを反映させて描いたもので、貴重な資料である。明治になっても影響を与え続けた合巻の一つとして『名将 大江山入』がある。これについての詳細な分析により、近代にまで影響を及ぼした作品の特色についての考察が行われた。 以上の8研究においては、全て言葉と絵の関係について言及しており、近世中期から後期にかけての草双紙の中で言葉と絵がどのような関係を持つにいたり、また変化していくのかが明らかになった。
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Research Products
(8 results)