2013 Fiscal Year Research-status Report
近世前期における九条家蔵書の復元とその文献学的研究
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23520237
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
石澤 一志 目白大学, 社会学部, 講師 (30507752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 博夫 鶴見大学, 文学部, 教授 (70211414)
佐々木 孝浩 慶應義塾大学, 付置研究所, 教授 (20225874)
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Keywords | 九条家 / 蔵書 / 文学 / 右筆 / 書写活動 / 筆跡 / 文庫 / 道房 |
Research Abstract |
九条家が所蔵していた蔵書群、とりわけ近世前期の当主・九条道房により行われた書写活動の形成に関わる書写活動を明らかにし、それを支えた右筆によって行われた書写活動を解明するべく、調査を行った。 宮内庁書陵部所に所蔵される九条家本に関してはカード目録による悉皆調査を行い、全体の目録調査を完了した。並行して実物の書誌調査を行い、九条道房の行った書写活動の実態を明らかにしつつある。具体的には、寛永19年前後から活発化する書写活動のうち、20年頃に一つの山があることが明らかになってきた。特定の右筆により大量の典籍の書写が行われていることが、明らかとなってきた。文学関係の典籍の書写が顕著だが、古記録・日記類、史書などにも及んでいたことがわかってきた。 また九条家本として巷間に散在する写本のうち、慶應義塾大学斯道文庫・同大学図書館・鶴見大学図書館・国文学研究資料館・実践女子大学・天理図書館・島根大学附属図書館所蔵・広島大学中央図書館、久保田淳(個人蔵)の所蔵本を調査した。また、鶴見大学図書館・実践女子大学・島根大学附属図書館・広島大学中央図書館・宮内庁書陵部久保田淳(個人蔵)より、所蔵の九条家本の書影の撮影許可を受け、撮影を行い、画像データを採集した。また、慶応義塾大学図書館・慶應義塾大学斯道文庫・国文学研究資料館・東海大学付属図書館蔵桃園文庫本中の九条家本を調査し、それら書影の紙焼き写真・デジタルデータでの頒布を受けた。 調査の進捗により、その調査対象が文学だけにとどまらず、歴史資料にまで及ぶことが明らかとなり、より一層の実態解明を行う必要が出てきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度に於いては、前年度に引き続き宮内庁書陵部の九条家本について調査を行った。カード目録より、九条家関係のものをピックアップする作業を終了し、その中から、九条道房の行った書写活動・蔵書整理の状況を把握すべく、奥書類を確認する作業を継続した。結果、寛永じ19・20年を中心に、盛んな書写活動が展開されたことが判明してきた。 また、天理大学附属天理図書館の九条家本について、善本目録からリストアップした九条家旧蔵本を実地に調査し、その内容確認を行った。研究協力者・連携研究者と合同で調査を行ったことで、様々な新たな事実が判明し、多くの知見を共有することが出来た。また、新たな奥書の発見により、近世初期の九条家における書写活動に従事した右筆の活動範囲が、かなり長期間にわたることが分かってきた。 そして、実践女子大学図書館の所蔵する「歌合集」のツレ(僚巻)が早稲田にあることは、既に研究代表者である石澤が明らかにしていたが、新たに慶応義塾大学図書館および斯道文庫には、久曽神昇氏の旧蔵書で、九条家旧蔵にかかり、かつ実践女子大学・早稲田大学の「歌合集」のツレ(僚巻)である本が所蔵されることが明らかになった。また、国文学研究資料館にも、九条道房およびその子息である兼晴が書写した典籍が新たに見いだされるなどして、当初の目的がかなり達成されてきている。 しかし、調査の結果、思っていた以上に近世初期の九条家旧蔵本は各所に所蔵されていることが判明したため、調査を継続し、その範囲を広げていく必要があることが分かってきた。そのため、本科研の1年の延長と、 さらに新たな調査を、発展的に継続して行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査を継続し、天理大学附属天理図書館の蔵書については、その実態をほぼ把握し得たので、本年度はその再確認と、他の所蔵先の蔵書との、共通点と相違点を明らかにし、まとめることを行いたい。その対象として、宮内庁書陵部の九条家本の悉皆調査を継続する。 また、慶応義塾大学図書館、斯道文庫、鶴見大学図書館、国文学研究資料館等、既にある程度の調査を終えたところに関しても、昨年までに行った調査結果による知見を基に、再度調査を行う必要も出てきたので、それを行う予定である。 さらに、日本大学の蔵書に関しては、調査先との折衝を続けているものの、なかなか実地調査にこぎ着けられないでいたが、今年度はそれを行えるようにしたい。 方法としては、前年度までに入手した書影の整理とまとめ、さらに新たなな書影の入手とまとめ、特にデジタルデータにして、比較することを行っているが、その進捗をはかる。 その上で、本科研の成果を世間に広め、他の研究との連携をはかるための、ワークショップ・シンポジウムを開催する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
天理大学附属天理図書館に、古典籍の紙焼き写真(プリントアウト)を依頼したところ、量的に多かったことと、時間的な関係で、年度内に完成・納品することが困難と判断され、申し込みを断られ、予算の執行が不可能となったため。 また、調査旅費として準備していた予算に関しては、研究分担者および連携研究者が校務等のため多忙で、予定していただけの調査出張を行えなくなったため、予算が十分に執行出来なくなったため。 さらに、予定していたデータ処理作業のアルバイトの人員も、諸般の都合により確保出来ず、予算のほとどんどが執行出来なかったため。 上記、天理大学附属天理図書館所蔵の、九条家旧蔵本の書影の紙焼き写真(プリントアウト)の頒布を受ける。調査の結果、相当の分量の典籍の書影を購入する必要が生じたので、それにより、残額のほとんどはこれに充てる予定である。
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Research Products
(5 results)