2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520365
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日向 太郎 (園田 太郎) 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (40572904)
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Keywords | ラテン文学 / 恋愛エレゲイア詩 / プロペルティウス |
Research Abstract |
前年度には、プロペルティウス研究の成果として極めて重要なS.J. Heyworthの校訂版(Sexti Properti Elegi, Oxford 2007)、およびその姉妹編にあたる注釈書(Cynthia. A Companion to the Text of Propertius, Oxford 2007)について、書評を『日本西洋古典学会』に発表した。この書評執筆作業を通じて、プロペルティウス作品について網羅的に考察することとなった。その過程で興味深く思われたのは、第4巻第7歌の本文上の問題が、プロペルティウス作品全体の理解と大きく関わっていることである。『イリアス』第23巻の翻案とでもいうべきこの歌には、詩人の別れた恋人が亡霊としてあらわれる。彼女が詩人に訴えかける言葉は、詩人の創作の軌跡を言い表すものであり、またこの言葉を通して恋愛詩を放棄したことへの詩人自身の未練が垣間見える。2013年6月には文献調査や意見交換の成果を踏まえ、日本西洋古典学会第64回大会で報告を行った。この報告は、学会誌編集委員会の承認を受けて、『西洋古典学研究』62(2014)に掲載された。また、報告に際しての小川正廣名古屋大学教授、高橋宏幸京都大学教授との質疑応答を踏まえ、第4巻第7歌同様キュンティアとの恋愛のエピソードを扱った第4巻第8歌についても考察を試み、その成果を所属機関の紀要に発表した(『言語・情報・テクスト』20 (2013))。この他、第4巻第7歌や第4巻第8歌といった個別の歌の考察を通して、ホメロスのプロペルティウス作品への影響について考察する機会を得たので、これをさらに詩集全体にわたって推し進め、慶應義塾大学言語文化研究所の紀要に発表した。
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