2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520368
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中地 義和 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (50188942)
塚本 昌則 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (90242081)
野崎 歓 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (60218310)
畑 浩一郎 聖心女子大学, 文学部, 講師 (20514574)
本田 貴久 中央大学, 経済学部, 准教授 (50610292)
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Keywords | 詩と絵画 / 詩人と画家の交流 / 視覚詩 / ピエール・アルベール=ビロ / テオフィル・ゴーチエ / コラージュ / 国際研究者交流 / フランスと日本 |
Research Abstract |
・『絵を書く』(シモン=及川編、2012年、水声社刊)は、平成20-22年度の基盤研究C(『19、20世紀のフランスにおける文学と絵画の関係についての総合的研究』)の成果の一部を発表した文献である。この図書の中では多くの論文が詩をテーマとして扱い、平成23-25年度の本研究のテーマへと繋がっている。 ・2010年に没したアルレット・アルベール=ビロ氏へのオマージュとして『Poesie vivante-Hommage offert a Arlette Albert-Birot』(シモン=及川、キャロル・オルエ共編、2012年、シャンピオン刊)がフランスで刊行された。この図書の中では20世紀の大詩人ピエール・アルベール=ビロを始め、20世紀の詩人と絵画の関わりが大きなテーマとなっている。 ・19世紀の詩人テオフィル・ゴーチエに関する研究も進めており、ゴーチエと美術に関するフランスで刊行された図書(『ルーヴル美術館』)の書評を書き、また『テオフィル・ゴーチエと19世紀の美術』というテーマで開催されたシンポジウム(上智大学)で発表した。本講演は2013年に出版される論文集に掲載予定である。 ・国際交流という側面では、2013年2月パリでフランス人の専門家と打合せし、今後の研究に新しい発展の可能性を得た。パリ第3大学のエレーヌ・カンペニョール=カテル氏(20世紀の詩と絵画)、パリ第3大学ガエール・テバール氏(現代詩・美術におけるコラージュの美学)、ヴェルサイユ大学のセルジュ・リナレス氏(コクトー、詩人と画家の交流)、ルーヴェン大学(ベルギー)のアンヌ・レベルソー(ピエール・アルベール=ビロと写真)、パリ・エスト大学のキャロル・オルエ氏(ジャック・プレベールの映画、コラージュ)等と情報を交換し、日本とフランスで共同研究を行うことを決め、双方で具体的なシンポジウム・講演会などの日程を立てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、詩と絵画の深い関係を様々な視点から考察する研究として、絵画的な作品を主題としている作品群、詩人と画家との共同作業、視覚詩といった詩と絵画の相関関係の三つの大きな側面の分析を目的としているが、2012年度では、次の結果を得ることが出来た。 ・まず、画家を捨てて詩人の道を選択したピエール・アルベール=ビロの文学的な作品を改めて研究し、他の専門家と意見を交わすことによって、彼の詩の中で絵画の存在(美術品の描写など)がより明らかになり、広い意味で詩人としても画家としても活躍した人物の研究の重要さが分かった。2012年度に行った19世紀に画家として出発し、後に詩人となったテオフィル・ゴーチエ研究もその関連にある。 ・次に、詩と絵画の関係においては、コラージュの重要な意味が明らかになった。コラージュは、特に20世紀の初頭から絵画でも文学でも行われており、その特徴、接点、相違などを研究している。 ・本研究では、2011年3月11日の震災が起きてから困難になっていた国際交流が2012年度に復活し、2013年度に納得できる形で行うように準備ができた
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Strategy for Future Research Activity |
・ピエール・アルベール=ビロの研究を進め、2013年9月に中央大学で開催される国際シンポジウムで発表する予定である。詩の視覚性もより深く分析する。また、セルジュ・リナレス氏が2014年2月フにフランスで開催する国際シンポジウム『テキストの空間化』に招かれており、このシンポジウムに基づいた論文集にも日本とフランスの視覚詩の交流についての論文を掲載する予定である。 ・本研究の最後の年であるこの2013年度には、外国の研究者を招いて数回の講演会・ターブルロンドを行うことになり、積極的に国際交流を行う。2013年5月にはキャロル・オルエ氏、7月にエレーヌ・カンペニョール=カテル氏、11月にセルジュ・リナレス氏を東京大学に招き、講演会、ゼミの参加などの形を利用して、本研究のメンバーと意見を交わす場を設け、共同研究を進めていきたい。 ・平成20‐22年度の基盤研究Cと同じように、本研究の成果を1冊の研究書に収め、公開したいと計画している。そのため、本研究に参加したメンバー及びフランス人の専門家の他にも、数名の研究者に論文を依頼し、翻訳も含めて編集の仕事を行い、2013年度末までに出版の準備を終わらせる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(39 results)