2013 Fiscal Year Research-status Report
近代日本おけるフランス象徴主義受容に関する総合的研究
Project/Area Number |
23520415
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂巻 康司 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (70534436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺本 成彦 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (30252555)
森本 淳生 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 准教授 (90283671)
大出 敦 慶應義塾大学, 法学部, 准教授 (90365461)
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Keywords | 象徴主義 / フランス / 明治大正期 / 日本 / 文学 / 受容 / マラルメ |
Research Abstract |
(1)平成25年度も平成24年度に引き続き、研究発表会を開催した。2013年(平成25年)6月15日、外部からお招きした杉山直樹氏(学習院大学文学部哲学科教授)による発表が学習院大学で行われた。「記号の手前に/イマージュの彼方に-象徴主義とベルクソンの交錯をめぐって」と題されたその発表において、杉山氏は明治大正期の日本において受容されたフランス象徴主義の思想とベルクソン哲学との関係を丹念に検証され、そこにはいくつかの誤解が存在していたことを明らかにされた。興味深い発表内容に対して、参加者たちによる活発な意見交換が行われた。 (2)他方、研究代表者である坂巻康司は2013年7月18-24日にパリ第4大学で開催された第20回国際比較文学会に参加し、7月23日に「明治期日本におけるマラルメ受容」と題する発表を行った。フランスのみならず、世界各国から集まった比較文学の研究者やマラルメの研究者たちが、日本におけるフランス象徴主義、とりわけマラルメの受容のあり方について、非常に熱心に耳を傾けてくれた。発表後もフランスの研究者たちから多くの質問が寄せられ、充実した意見交換をすることが出来た。ヨーロッパの文芸思潮がアジアやその他の地域でどのように受容されてきたのかについて、様々な国籍の研究者が深い関心を持っていることが実感される体験であった。今後も可能な限り、研究成果を海外で発表していくことが大切であると痛感した。 (3)また、中央大学で2013年9月7、8日に開かれた国際シンポジウム「定型詩の継承と逸脱」においても研究分担者の寺本成彦と坂巻は発表を行い、近代日本におけるフランス詩の受容について報告を行った。これに関しても、主催者であったボルドー大学の教授陣から一定の評価を得ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は国際比較文学会がパリで、また、国際シンポジウムが東京で開催された為、研究成果を海外の研究者に向けて公表出来たことが大きな成果だったと言えよう。国内の研究者に向けて研究成果を報告をするのは当然であるが、海外の研究者に対して「日本におけるフランス象徴主義受容」の実態を報告することの重要性を認識できたことが、この研究にとっては極めて意義のあることだった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究発表会などを通して、研究成果を外部に向けて報告していく予定である。平成26年度は二人の研究者による成果報告からなる研究発表会の開催を計画している。また、可能であれば年度内にシンポジウムを実施する方針だが、これは平成27年度にずれこむ可能性もある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はほぼ予算を使い切ったが、わずかな金額が残った。来年度の予算と合わせて適切に使用する予定である。 来年度も研究会を開催し、その交通費、謝金等に予算が使用される予定である。
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Research Products
(4 results)