2013 Fiscal Year Annual Research Report
李叔同(弘一法師)をめぐる日中文化交流の研究:中国の近代化と日本
Project/Area Number |
23520419
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
大野 公賀 東洋大学, 法学部, 准教授 (20548672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西槇 偉 熊本大学, 文学部, 准教授 (50305512)
呉 衛峰 東北公益文科大学, 公益学部, 准教授 (90458159)
トウ 捷 関東学院大学, 文学部, 准教授 (50361556)
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Keywords | 李叔同 / 弘一法師 / 豊子ガイ / 周作人 / 『護生画集』 / 竹久夢二 / 日中文化交流 |
Research Abstract |
【平成23年度】大野公賀は満州事変後に弘一法師が上海在住の日本人書店主内山完造の協力の下、黄檗宗総本山萬福寺に寄贈した仏典『華厳経疎論纂要』および、それに関連して内山に送った礼状の存在を萬福寺と内山の遺品に確認した。これらはいずれも、内外の研究者にその存在は知られながら、実在が確認されていなかったものである。大野はこれらの分析を通じて、弘一法師や弟子の豊子ガイら、日本留学経験者と、内山完造や彼を通じて中国の文化人と交流をもっていた日本の作家や僧侶、知識人らの知的、心的交流について研究を進めた。西槇偉、呉衛峰は豊子ガイの日本での西洋文化受容とその中国への影響について、またトウ捷は弘一法師と同時期に日本に留学していた魯迅と日本文化の関係について、それぞれ論証を進めた。 【平成24年度】大野公賀は、豊子ガイが弘一法師の遺志をついで、45年以上もの年月をかけて完成させた『護生画集』(全6巻)につき、弘一法師と豊子ガイの仏教観、芸術観などの視点から研究を進めた。西槇偉は、弘一法師の友人で、豊子ガイの師でもある夏丐尊が翻訳した、当時のベストセラー『愛の学校』(原作:アミ―チス『クオーレ』)と豊子ガイの『教師日記』の比較を通じて、豊子ガイと弘一法師、夏丐尊の師弟愛について研究を進めた。呉衛峰、トウ捷はそれぞれ、豊子ガイの翻訳した『源氏物語』の中国での受容および、魯迅の日本観などの研究を通じて、中国の近代化に日本の果たした影響について論じた。 【平成25年度】大野公賀は前年度に続き、『護生画集』の研究を行った。また、弘一法師と同時期に日本に留学し、帰国後は中国の近代化に重要な役割を果たした周作人が、豊子ガイと同じく竹久夢二に深く魅了された点に着目し、豊子ガイと周作人の夢二および夢二に代表される大正日本の文化受容の相違についても研究を進めた。 上記、個人名の明記については先方の許可を得ている。
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