2013 Fiscal Year Annual Research Report
主観性に基づく言語類型論と動詞/衛星枠付け言語類型の相関:接触動詞を中心に
Project/Area Number |
23520482
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
小熊 猛 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (60311015)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 幸誠 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (30397517)
井筒 美津子 藤女子大学, 文学部, 准教授 (00438334)
川畠 嘉美 石川工業高等専門学校, 一般教育科, 准教授 (70581172)
|
Keywords | 事態把握 / 逆行構文 / 直示性 / 動詞枠付け言語 / 衛星枠付け言語 |
Research Abstract |
本研究では第一に、英語の接触動詞構文と日本語の接触動詞に関わる構文表現を対照分析する中で,所有者上昇構文(S +接触動詞+被行為者+前置詞+the 身体部位)がS-framed 言語に偏在するタイプであるかを調査した。V-framed 言語に分類されるフランス語にも所有者上昇構文と考えられる表現が存在し,韓国語においても所有者上昇構文と見なせるS+接触動詞+被行為者+身体部位が一部確認出来ることが明らかになった。 次に、日本語には、所有者上昇構文が存在しないが,被行為者,身体部位が共に言語化される被害受け身構文は機能的に対応構文と見なすことができる。また、被行為者である話者が明示的に言語化されない点において振る舞いが異なるとはいえ,逆行構文(「~てくる」構文)の一部に「見知らぬ人が肩をたたいてきた」のような機能的対応構文として分析される下位類があることを本研究では示した。 本研究では更に,V-framed vs. S-framed の類型を踏まえてV- colored vs. S- coloredの類型を提案し,より広い視点から日本語,韓国語,アイヌ語の「受益(恩恵)」「被害(迷惑)」を受ける参与者の言語化パターンの分析を試みた。日本語は徹底して補助動詞による言語化パターン「V-colored」を示す一方で,アイヌ語は被行為者が動詞語幹に抱合される形式による言語化パターン「S-colored」を示し,韓国語は基本的に日本語と同様に「V-colored」言語化パターンを示す一方で,一部「S-colored」的色彩を示すことが明らかになった。
|
Research Products
(2 results)