2013 Fiscal Year Annual Research Report
キナウル語の連体修飾についての研究-とくに修飾語の形態的側面からの分析
Project/Area Number |
23520514
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
高橋 慶治 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (20252405)
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Keywords | キナウル語 / 西ヒマラヤ諸語 / チベット・ビルマ諸語 / 形容詞 / 動詞 / 状態性 / 連体修飾 |
Research Abstract |
本研究は、キナウル語の形容詞を中心とする連体修飾構造を明らかにするものである。本研究では、給付期間中各年度に1回ないし2回の現地調査を行い、研究テーマに関わる資料を収集した。(以下で、`A' は `a' の長母音を表す。) 連体修飾は主に形容詞と動詞によって構成される。キナウル語においては、基本的に形容詞は不変化であり、名詞に前置して修飾関係を表す。これに対し、動詞が名詞を修飾する場合は、動詞は完了分詞または動名詞の形を取る。また、動名詞形を取る場合は、さらに -tseyA という接辞を取ることがある。動名詞が -tseyA を取っている場合と、そうでない場合については、これまでのところ違いは見出されていない。 完了分詞は、完了した状態変化の意味を持って名詞に前置されて名詞を修飾する。ただし、すべての動詞がこの形式によって連体修飾に使われるわけではなく、一部の動詞に限られている。この点については、インフォーマントの判断がかならずしも一定でない場合があり、さらに資料を精査する必要がある。 なお、形容詞は、上記のように通常の修飾では不変化であるが、-seyA という接辞を取ると比較級の意味を表すことができる。また、名詞にこの -seyA という接尾辞が付いて連体修飾に用いられることがある。形容詞と名詞には、動詞に付加される -tseyA が付加されず、共通して -seyA が用いられることから、キナウル語の形容詞が名詞的な性質を持つことがわかる。
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