2013 Fiscal Year Research-status Report
中・高連携を企図したタスク分析に基づくライティングのシラバス開発
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23520662
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
久保田 章 筑波大学, 人文社会系, 教授 (30205132)
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Keywords | 教科書 / タスク / ライティング / 中学校 / 高校 |
Research Abstract |
本年度の目的は、主に(1)新課程の中学校1~3年用英語教科書におけるライティング課題の抽出とその分類及び課題間の関係の分析、(2)23年度版の高校ライティング教科書における同様のライティング課題の分析、(3)ライティング能力の推定基準作成の方法についてライティング能力の測定と評価を専門とする海外の研究者との意見交換と情報収集の3点であった。 (1)については、4社、合計12冊の教科書について分析を終了した。学習指導要領改訂に伴い、教科書毎、学年毎にアウトプット・タスクとしてのライティング課題の質と量がどのようになっているか、特にスピーキング課題と比較しながら検討した。また、ライティング課題とその前後に設定された課題との形式的、内容的関連性についても同様に検討を行った。その結果、学年が上がると書くべき英語の量は増加するが、ライティング課題自体の課題数が必ずしも増加するわけではないことがわかった。また、ライティングは全体として他の3技能のまとめという位置的づけがなされているが、課題間の論理的な関係が明確でない場合も散見された。 (2)については、旧課程の「ライティング」の教科書3冊に加え、新たに新課程の高校「英語表現I」の教科書3冊を対象に、(1)と同様に量的、質的なタスク分析を実施した。旧課程のライティングの教科書は、タスクの特色と配列の関係について、文法指導とプロセスライティング指導の2本柱を中心とするほぼ類似した傾向が見られた。コミュニケーション英語Iではスピーキング課題とライティング課題のバランス調整が図られており、全体としては「正確さ」を重視する傾向が強かった。 (3)については、先方の研究者との日程調整ができず、予定していた海外研究者への訪問はかなわなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
25年度には別途新課程の「英語表現I」の教科書分析を開始したこともあり、課題分析をおこなった高校の旧課程のライティング教科書は少数にとどまった。また、Robinsonの課題を構成する理論的・認知的な枠組みに基づく課題分析では課題の関連性を的確に捕捉することが非常に難しいことがわかり、教科書のライティング課題を具体的に分類してデータ収集する方法に変更したため、データの分析ととりまとめに時間がかかり、年度内に成果報告ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度には、教科書内のライティング課題についてさらに多面的に実証するため、これまで同様、課題の特性と配列の状況の観点から新課程の高校の「コミュニケーション英語I」の課題についても教科書分析を行う。これまでに得られたデータをさらに整理し、新課程の教科書のライティング課題の実態に迫る。さらには、その成果を元に教科書内の典型的なライティング課題の配列様式を2種類取り上げ、配列の違いが学習者の英作文に与える効果について、作文の正確さ、流暢さ、複雑さの観点から調査する。具体的な教科書のライティング課題の分析と、英作文に対する課題の配列様式の違いの効果という2つの研究成果を軸として、中学校と高校におけるライティングのシラバス開発について提言を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
教科書分析の方法を認知的、理論的枠組みに基づく分析から課題の具体的な形式に基づく分析に変更したため、分析データの収集ととりまとめに時間がかかり、研究成果の報告が25年度内にできなかったため、次年度使用額の189,819円が生じた。 26年度には、当該の研究費を主に研究成果報告書の作成に充当する計画である。
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Research Products
(1 results)