2011 Fiscal Year Research-status Report
短期大学における多読を土台にした二年間の総合的英語力向上プログラムの開発
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23520782
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Research Institution | The University of Shimane Junior College |
Principal Investigator |
竹森 徹士 島根県立大学短期大学部, 総合文化学科, 准教授 (90282087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小玉 容子 島根県立大学短期大学部, 総合文化学科, 教授 (40195748)
LANGE Kriss 島根県立大学短期大学部, 総合文化学科, 講師 (90533357)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 英語 / 多読 / 英語教育 |
Research Abstract |
多読教育環境の整備として、図書の整備を行なった。Oxford Bookworms, Penguin ReadersなどのGraded Readersの主要シリーズに加え、映画化された作品が多いシリーズ、人気マンガの英訳など、親しみやすさ、種類の多さを学生が感じられるよう配慮した。同時に、今後の多聴教育を考え、朗読CDが付属する教材をできるだけ揃えた。 研究代表者および研究分担者が所属する短期大学において多読教育を行なった。自主参加による多読の課外活動を行ない、多読に関するアンケート調査を行なった。また、英語科目の授業の一部に多読の時間を設け、学生の読書状況(平均読書語数など)の把握、アンケート調査を行なった。これらの活動および過去の多読活動から本学学生の平均的な読書傾向を想定することができた。その結果をふまえ、検討の結果、次年度からの英語教育カリキュラムに週1コマの多読演習を設けることになった。 多読用教材の活用として、英米文学の授業においてGraded Readersを取り入れた授業を行ない、学生からの反応をアンケートで確認した。地域連携活動の一環である大学主催の公開講座において、多読用教材を用いた音読、読み聞かせの講座を実施した。 これらの活動をまとめて考察を加え、紀要に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の実施計画に照らしあわせてみて、実績概要に記してある事柄については、いずれも計画に沿った活動であり、初年度の活動としてはおおむね順調な進展だと思われる。予定していた内容は、図書の整備、課外活動および授業内での多読教育の実施、多読教材の活用と大きく分けられる。いずれにおいても一定の成果を得ることができ、その成果をもとに24年度より多読演習の授業が行なわれることとなった。 また、それぞれの活動を進めるにつれて、検討が必要な課題が多く現れたが、そうした課題を確認することができたことも活動の成果と言える。図書整理に関しては、データベース化のためのリスト作成は行なったが、次年度以降の方向として、データベースの活用について、利便性の高さだけでなく、教員と学生の情報共有や読書指導など、効果的な活用の方法について検討しておく必要がある。こうした実施に際しての細かな事柄から、短期大学生の学習、生活実態の把握の必要性といった、教育全般に関わる事柄など、活動を進めたからこそ明確になってきた課題や修正すべき方向もある。 計画にはあるものの、検討が不十分な事項に、英語力評価テストの検討がある。現在TOEICやクローズテストなどで学生の英語力の伸びを測定しているところである。本研究では、筆者らの所属する短期大学の学生、教育により即した、多読教育により対応できる英語評価テストを検討する予定であったが、この点に関しては、現在のところ資料収集の段階にとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究を終えて明らかになった課題に対処し、24年度の研究計画を実施する。 多読教育、多読教材を用いた教育を授業等で行ない、有効な多読教育についての検討を行なう。これまでの試みもふまえ、また、新たな試みを模索しつつ、多読による英語教育の役割、可能性を探っていきたい。 環境整備として、多読図書、データベースの整備を継続する。データベースにインターネットを通してアクセスし、学生が読書状況を記録し、自らが読書進度を客観的に確認できるようにするなど、学生の利便性を高める工夫をする。加えて、教員の読書指導でも有効に活用できるようなものにする。今年度より「多読演習」として多読を単位化したため、学生がもっと手軽に多読ができる環境を整備する必要が生じてきた。そのための工夫として、図書館以外の場所でも気軽に多読ができるようにするための施設面での整備も考えている。 英語力評価テストの検討を続ける。英語力評価テストに関する資料収集、分析を行い、学生の実態に即した英語力評価方法を検討する。多読教育は筆者らの所属する短期大学の英語カリキュラムの一環であり、英語力測定にあたっては、カリキュラム全体の成果として測ることになる。そのため、ここ数年実施した様々な英語力評価テスト(クローズテスト、観光英語検定試験模擬テスト)のみならず、過去10年以上実施してきたTOEICの結果も分析する。英語学習や多読の満足度なども参考に、英語カリキュラムの中での多読の位置づけを見極め、モデルプログラム作成の土台とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究実施計画に従って研究費を使用する。「次年度使用の研究費」が生じたが、その状況としては、平成23年度に購入予定であったCDプレーヤーなどの機器整備を実施しなかった点があげられる。多くの学生の電子機器の使用状況から判断して、CDプレーヤーは利便性が低いと考えている。その代替として、MP3などの音声ファイルの再生が可能な電子機器を購入する予定である。電子ブック利用のためのタブレット型PCの購入も計画している。 図書館の多読コーナーの図書を引き続き充実させ、図書の整備も実施する。図書の購入は予定通り行ない、図書整備のためのアルバイト雇用、シールなど必要な事務用品や機器の購入を行なう。また、学生が気軽に多読ができる機会を増やすために、図書館に加えて、講義棟にも多読スペースを設け、備品、および図書の整備を行なう。 そのほか、英語力評価テストの検討のため、ACEやSLEPテスト、EPER(Edinburgh Project on Extensive Reading)などの資料の購入は随時行なう。
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