2012 Fiscal Year Research-status Report
短期大学における多読を土台にした二年間の総合的英語力向上プログラムの開発
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23520782
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Research Institution | The University of Shimane Junior College |
Principal Investigator |
竹森 徹士 島根県立大学短期大学部, 総合文化学科, 准教授 (90282087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小玉 容子 島根県立大学短期大学部, 総合文化学科, 教授 (40195748)
LANGE Kriss 島根県立大学短期大学部, 総合文化学科, 講師 (90533357)
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Keywords | 英語 / 多読 / 英語教育 |
Research Abstract |
多読教育環境の整備を継続して行なった。図書の整備では、新たにシリーズを購入して、図書館の多読コーナーを充実させた。また、多読コーナーの図書を整理して、学生の読書の便宜を図った。各図書に読みやすさレベルと語数を示すシールを貼り、それぞれの図書を手に取っただけで図書の情報がすぐに分かるようにした。さらに、講義棟の資料室に新たに多読図書のコーナーを設け、より身近で日常的な場所で多読を行なうことができるような環境を整えた。また、電子書籍の普及にともない、多読図書の電子化も進んでいる。そこで、電子書籍、タブレットPCを利用した読書やリスニング、授業展開の可能性について検討を行なった。 授業においては、今年度より多読を主体とした演習科目を設けた。本学英語文化系1年生を対象に、前期に「多読演習A」、後期に「多読演習B」と「多聴英語」を開講した。授業実施にあたっては、事前、事後のテスト、アンケート、読書語数の記録確認を行ない、本学学生の英語力、読書傾向、学習姿勢を把握するための調査も行なった。 多読用教材の活用として、英米文学の授業におけるGraded Readersの活用を継続して行なった。また、地域連携活動の一環として、大学主催の公開講座において、多読用教材を用いた音読、読み聞かせの講座を引き続き行なった。 これらの活動をまとめて考察を加え、その一部を紀要に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度の実績は23年度の活動成果や課題をふまえたものであり、活動はおおむね順調に進展している。主な実績として、多読教育環境の整備、多読教育の実施、多読教材の活用があるが、それぞれの活動の担当者の現場の声を生かし、情報交換を行なうなかで臨機応変の対応がなされ、より所期の目的に即した方向づくりができていると思われる。 多読環境の整備としては、図書館以外の場所に多読コーナーが設けられ、施設面での整備が進んだ。図書整理にあたっては、各図書にシールで図書情報を記すことにした。一方では、データベースのためのリスト作成も行なっており、PCを通じたデータへのアクセスも検討している。それぞれのシステムが学生の利便性にどう資するか、状況を探ってみる必要がある。 今年度の活動で最も大きかったのは多読を主体とした授業の開設だった。これにより、英語教育カリキュラムのなかでの多読の位置づけを明確にする足がかりができた。選択科目ではあるが、対象学生のほぼ全員が授業を履修しており、今後、学生の英語力の伸び、読書傾向をより正確に把握することができると思われる。さらに、今回の授業導入により、多読に対する認知度が飛躍的に高まった。図書の貸し出しも大幅に増加しており、図書館利用者が増え、大学施設の有効活用にもつながっている。 タブレットPCの利用検討は近年の趨勢をふまえた新たな検討課題であり、目まぐるしく変化する学習環境への対応である。タブレットPCを用いることにより、リスニング、読み聞かせなど、単に読書にとどまらない多角的な活用の可能性を検討している。 英語力評価テストの検討に関しては、資料収集に加えて、これまで本学で長年に渡って行なってきたTOEICなどの結果分析を継続して行なっているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の新規科目として立ち上げた「多読演習A」、「多読演習B」と「多聴英語」、および平成25年度に実施している卒業プロジェクト(アメリカ文学)における多読教材の活用も合わせて、実施状況のまとめと分析・考察・評価を行う。そして、多読クラブを含め、これまでの多読教材を利用した英語教育全体を振り返り、短期大学での多読教育利用プログラムの位置づけを行う。 英語力評価テストの検討は継続的な結果分析が必要であるため、これまで実施した試験(TOEIC、クローズテスト、Cテスト、GTELP、観光英語検定試験など)の総合的な結果分析を行う。そして短期大学における英語力の伸びの評価に関して、必要なチェック項目等を整理し、TOEICやその他の公的英語検定試験との比較検討や補完ができる試験の内容を引き続き検討する。 環境整備に関しては、学生の読書レベルに合わせて未購入図書を中心に多読図書を継続的に補充・整備していく。また、タブレットPCや電子書籍端末を利用した電子図書を活用し、その効果的な利用方法を探る。特に、リスニング力の向上と音読に効果的な利用方法を確立していきたい。 作成したデータベースの活用に関しては、前期に携帯電話またはパソコンを用いたウェブ上での読書記録を試験的に実施する。そして、学生の利便性や、教員の学生に対する読書指導、教員間のデータ共有、分析検討などに関して、有効性や簡便化がどの程度進むか等を探り、後期科目での活用方法の検討・活用実施につなげていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
多読図書(電子書籍を含む)の補充および整備をおこなう。 これまでの研究成果をまとめ、その発表準備および学会参加のための旅費として使用する予定である。
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