2013 Fiscal Year Annual Research Report
ミノア・ミュケナイ期~前古典期における国家と宗教の諸相と変容に関する研究
Project/Area Number |
23520901
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
山川 廣司 愛媛大学, 法文学部, 客員教授 (30113682)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古山 夕城 明治大学, 文学部, 准教授 (10339567)
|
Keywords | ギリシア宗教 / 国家 / 線文字B粘土板文書 / 王権 / ミュケナイ期 / アーケイック期 / クレタ / 宗教変容 |
Research Abstract |
最終年度は、山川は線文字B粘土板文書を手がかりにミュケナイ王権によるポセイドーン崇拝とポトニア崇拝を検討し、宗教儀式を統轄することで権力の維持をはかる王権について考察した。古山はクレタ島における法碑文の成立状況を題材に、ポリス形成期の「法の世界」を遡及的に追及することを課題とし、法顕現のトポスとなる「聖なる空間」の象徴的意味をクレタ各地の聖所・神域・神殿の歴史的変遷に照らし合せて考察した。また9月の研究会で出された批判を踏まえて、特に「社会の掟」から「国家の法」への展開に際しての神聖空間の機能の普遍化論に関して日本古代との比較参考のため、3月に出雲地方の古神域と資料館を訪ね、大和王権の国家影響力がもたらした歴史的状況を観察した。 本研究では、時期を分担しながらミノア期から前古典期までの長期間を国家と宗教を軸に考察できた。特に現地調査に重点を置き、共同でクレタとペロポネソスの宗教遺跡・博物館を調査することで、効率よく多くの遺跡・博物館調査が実施でき、分担以外の宗教の諸相と変容についても共通の認識を持つことができた。 研究経過については、5月、12月、3月の研究のまとめに向けての打ち合わせの他、9月12~14日に周藤芳幸教授(ギリシア考古学)、長谷川岳男教授(ヘレニズム期)を愛媛大学に招聘して研究会を開催した。研究代表者・分担者のこれまでの研究の概略・研究成果の報告と招聘者からの批判・意見を受けての討議、また研究課題に関わって招聘者の研究分野での研究情報の提供と宗教史研究の問題点などについて提言があり、研究のまとめに向け貴重な指摘・教示を受けた。その後宗教・巡礼をキーワードに、多神教であった古代ギリシアの巡礼との比較で明治期の廃仏毀釈以前の神仏習合を残す松山周辺の四国遍路札所寺院等を巡るフィールド巡検を実施し有益であった。3月末に研究のまとめとして『研究成果報告書』を発刊した。
|
Research Products
(4 results)