2013 Fiscal Year Annual Research Report
日本鐘の成立展開定型化過程における東アジア文化交流の研究
Project/Area Number |
23520936
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
五十川 伸矢 京都橘大学, 現代ビジネス学部, 教授 (30127047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 衛明 京都橘大学, 文学部, 教授 (50248613)
吉田 晶子 国立民族学博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 研究員 (00449828)
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Keywords | 梵鐘 / 袈裟襷 / 銘文 / 鋳型 / 造型法 / 湯口系 / 鋳鐘民俗 |
Research Abstract |
前年度に引きつづいて、研究代表者の五十川、分担者の王衛明、協力者の湯川紅美は、協力して日本・中国・韓国に所在する梵鐘の実物資料の観察をおこない、それらを様式(形態・装飾・銘文)と技術(材料・造型法・湯口系)の両面から検討した。その結果、唐代以降の北宋・南宋を経て元代に到る時代の中国鐘は、独自の様式や技術要素をもちつつも、銘文のあり方や鋳型分割法において、同時代の日本鐘と比較して、ほぼ平行する変化を示していることを確認した。また、朝鮮鐘は、袈裟襷を主体とする中国鐘や日本鐘と比較して、様式がかなり異なっているが、湯口系において日本鐘と類似するものがあることが判明した。前年度の研究では、唐鐘の様式には、日本鐘に引き継がれた装飾などの様式要素も存在するが、技術要素には日本鐘と異質なものが含まれており、日本鐘の成立には複雑な経緯があったと想定したが、本年度の研究により、日本鐘の成立・展開において、朝鮮鐘の鋳鐘技術が関連していることが明らかになった。 また、五十川は古代中世の日本鐘を鋳造した鋳造土坑の調査例の集成をおこなって、ジョウ(底型)への内型と外型の設置方法において、中世のある時点で大きな技術的変化が生じたことを明らかにした。現代に残る日本の鋳鐘民俗の技術は、この変化の後のものであり、古代から中世初期にはさかのぼるものではないことも確認できた。 以上のように、日本・中国・朝鮮半島の梵鐘の様式と技術の歴史的変遷を明らかにするとともに、梵鐘をめぐる東アジアの国際的な文化交流が、日本鐘の成立展開定型化の時代に生成発展していたことを、様々な観点から検討することとなった。
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Research Products
(4 results)