2011 Fiscal Year Research-status Report
現代中国都市の住宅供給における不動産企業の福祉的性格の二面性
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23520958
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
土居 晴洋 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (40197992)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 経済成長 / 土地利用 / 住宅 / 所得 / 公共 |
Research Abstract |
平成23年度は2度の現地調査(9月4日~9日:北京市,11月23日~29日:蘭州市)を実施した。 第1回目の現地調査は北京市を訪問した。中国統計出版社,測絵局および北京市統計局において現代中国の住宅開発に関する統計資料および専門書等の購入を行った。また,海淀区および北京経済技術開発区において,住宅開発に関する資料収集および担当者への聞き取り調査を行った。さらに郊外地域の住宅開発の事例として,通州区土橋地区に行き,現地調査を行った。 第2回目の現地調査は甘粛省蘭州市を訪問した。単位(企業等)による住宅整備の実態を把握するために,西北師範大学,蘭州電機会社,蘭州通用機械会社などを訪問し,教員・職員に対する住宅整備に関する歴史的経緯や現状について,担当者より資料収集および聞き取り調査を行った。 日本国内においては,現地調査実施前には,本研究課題に関して事前に収集していた統計資料等の分析を行い,現地調査実施後は,北京市および蘭州市における現地調査によって収集した資料の整理,統計資料の分析を行うことで,現代中国における民間不動産企業を含む住宅市場の形成と両市の住宅市場の実態に関して考察した。 これらの現地調査を通じて,両都市においては,人口増加および経済発展に伴って,民間不動産資本を中心に,都市住民を対象とする住宅開発が大量に行われていることが明らかとなった。その一方で,市内の単位(企業等)は独自に教職員を対象とした住宅整備を実施していることが確認された。このような住宅整備は,1990年代の住宅改革によって終止符が打たれたと考えられている福祉的な住宅供給が,現在も形を変えて継続していることを示すものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
北京市および蘭州市において,福祉的な住宅供給が行われていることが確認された。また,現代中国の住宅開発に近年の動向について聞き取り調査や書籍等を通じて情報を得ることができ,このような動向の中に本研究課題を位置づける基礎ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査において聞き取り調査を実施する企業を増やすことが必要である。福祉的な住宅供給には様々な類型があるのではないかと予想されるので,本研究課題に合致する企業をより多く適切に抽出して,聞き取り調査を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に引き続いて,北京市および蘭州市における現地調査を実施する(旅費の使用)。なお,現地調査で企業等の聞き取り調査を行うにあたって,研究協力者等に適切な謝金を支出する予定である(人件費・謝金の使用)。
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