2012 Fiscal Year Research-status Report
現代中国都市の住宅供給における不動産企業の福祉的性格の二面性
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23520958
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
土居 晴洋 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (40197992)
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Keywords | 中国 / 北京市 / 蘭州市 / 住宅 / 公共 |
Research Abstract |
平成24年度は中国における現地調査を1回(10月4日~10月10日:蘭州市)と国内における資料収集を2回(1月7日~1月9日:札幌市,千葉市,3月28日~3月31日:東京都千代田区,埼玉県熊谷市)実施した。 中国における現地調査は甘粛省蘭州市において実施した。蘭州市内で住宅開発を行っている民間不動産開発業者の中から2社を,不動産仲介業者を1社選択して,聞き取り調査を実施した。2社の不動産開発業者のうち1社は甘粛省内のトップクラス,もう1社は中堅クラスの企業である。企業規模の違いを反映して,主要な顧客層や開発規模は異なるが,共に市政府との関わりの中で住宅開発を行っていることが明らかとなった。特に,両社ともに福祉的性格を持つ住宅開発を行っており,住宅の市場化が進む現代中国都市において,民間不動産開発企業が福祉的性格を持つ住宅を供給していることが確認された。また,不動産仲介業者からは賃貸・転売を含む住宅市場の全体像を把握することができた。なお,蘭州大学および西北師範大学を訪問し,蘭州市の都市発展に関わる資料を収集した。 日本国内においては,JETROアジア経済研究所において,甘粛省および蘭州市に関する都市発展に関わる統計資料等を,国立国会図書館では中国の都市化,都市発展,都市住宅の開発に関する日本国内における学術研究資料を収集した。また,研究対象都市を全国の中で位置づけるために,都市発展・不動産開発に関わる統計を経年的に編集した統計書(DVD-ROM)を物品費で購入し,分析を進めた。 なお,これらの研究成果をSLUASワークショップ(1月26日:北海道教育大学旭川校)において報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蘭州市において住宅を開発している不動産開発企業2社へ聞き取り調査を行うことができた。これによって,民間不動産開発企業が通常の商品住宅の開発・供給を行うと同時に,福祉的住宅の開発・供給も行っていることが確認できた。また,蘭州市の都市発展の歴史に関する資料を収集し,近年の都市計画との関わりにおける住宅開発の動向を把握した。 なお,北京市と蘭州市の住宅開発に関する全国的位置づけを確認するために,経年統計を入手し,分析を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の成果として,民間不動産開発企業が行う福祉的住宅の開発・供給には,市政府の関与が確認されたので,北京市・蘭州市の市政府において都市計画・住宅政策に関する聞き取り調査を進める。また,改革開放政策導入以前の都市地域の主要な住宅供給主体であった「労働単位」が現在においても,構成員に対して,直接的・間接的に住宅の提供を行っていると言われているので,可能な範囲で「労働単位」に対しても聞き取り調査を進める。 なお,平成25年度が本研究課題の最終年度であるので,年度後半には研究成果を取りまとめて,最終成果報告書の作成を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に引き続いて,北京市および蘭州市における現地調査を実施する(旅費の使用)。なお,現地調査で企業等の聞き取り調査を行うにあたって,研究協力者等に適切な謝金を支出する予定である(人件費・謝金の使用)。また,最終成果報告書を作成する(印刷費の使用)。
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