2013 Fiscal Year Research-status Report
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23530011
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
居石 正和 島根大学, 法文学部, 教授 (40224315)
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Keywords | 自治 / 府県制 / 郡制 / 市制町村制 / 地方官官制 |
Research Abstract |
1.今年度は、山口県立文書館、東京都立公文書館、埼玉県立文書館及び国立国会図書館に調査を行った。これにより、明治二三(一八九〇)年府県制・郡制施行の実態に関わる史料を収集するとともに、明治三二(一八九九)年改正までの府県制・郡制改正法律案の収集を行った。 2.井上馨文書、伊東巳代治文書、大隈文書等、明治三二(一八九九)年府県制・郡制改正に関わる史料の整理・分析を行っている。また、『衆議院議事速記録』『貴族院議事速記録』などを使い、帝国議会での議論を整理・分析している。 3.府県制・郡制改正に関する研究史の整理を行った。明治二三(一八九〇)年制定の府県制・郡制は、府県により施行時期が異なる。明治三二(一八九九)年の改正府県制・郡制によってはじめて全国統一の地方制度が確立するが(岡山県を除く)、それまでは、市制町村制を基礎として、府県制・郡制が施行されている府県と、三新法期の地方制度が実施されている府県が混在する状況であった。なぜ、このようなことが可能であったのか。その条件を探っている。さらに、飯塚一孝氏のご研究によれば、第一次大隈内閣期には、府県制・郡制改正法案とともに、市制町村制改正法案が作成されているとのことである。これは、この当時の内務省が、市町村から郡・府県を含む地方制度を大きく変えようと試みていた可能性を示唆する。もしもそうだとすれば、ここから、地方制度構築の基本原理を明らかにできるのではないかと考えている。その場合、議会(府県会・郡会)議員の選出方法がもつ意味を考えてみたいと思う。 4.なお、府県制・郡制施行と関わり、市制町村制施行状況も調査した。具体的には、明治二二(一八八九)年、松江の市制施行について調査し、市民講座でその成果の一部を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究課題に関係する研究文献については、あらかた収集し、読了した。しかし、他の研究との関わりもあり、史料収集を充分におこなえなかった。そのため、府県制・郡制改正過程の全貌を把握できるまでには至っていない。 本研究課題は、研究成果を数次にわたり公表することが求められる。これにより、府県制・郡制改正の特質が明らかになるであろう。そのために、テーマを絞り込み、論点整理にとりかかる必要があるが、史料収集の遅れもあり、この点でもやや遅れを感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も史料調査を行う。具体的には、奈良県立文書館、滋賀県立文書館などに所蔵されている行政資料を調査する予定である。これにより、早急に遅れを回復する。 研究成果(一部であるが)を公刊する。『島大法学』に公刊を予定している。これ以後、漸次研究成果を公刊する予定であるが、その中心となるテーマ及びそのための分析視点を定める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費及び人件費を予定どおり支出できなかったため。 人件費は項目を削除し、次年度使用額は旅費で支出する計画である。
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