2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530011
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
居石 正和 島根大学, 法文学部, 教授 (40224315)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 府県制 / 郡制 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は、研究成果を纏めることに重点を置いた。そのための補助調査と史料整理・翻刻作業を行った。今回は、第一回から第三回帝国議会にかけての府県制・郡制改正法案をめぐる審議を纏め、公表する予定である。論旨は以下の通り。 第一回から第三回帝国議会にかけて議会で審議されたのは、府県制・郡制施行延期法案及び部分改正法案であった。これらの法案審議過程で重要なのは、市制町村制と郡制・府県制は関連を持つ一体の地方自治制度ととらえられていること、参事会の機能が特に重視されていることである。 府県制・郡制全面改正法案が衆議院で初めて審議されるのは、第三回帝国議会である。両法案の性格はほぼ同じであり、市制町村制との関連が意識されている。改正法案の特徴は、第一に、第一回帝国議会以来の議論が反映していることである。第二の特徴は、府県・郡に自治を認め、自治権拡大を図ろうとしていることである。具体的には、条例制定権・規則制定権の承認、選挙権者・被選挙権者の拡大、府県参事会・郡参事会の組織改正と権限拡大などである。ところで、府県制改正法案が郡制改正法案よりも自治の程度を弱めていることは、重要な相違である。 府県制改正法案は衆議院第一読会で否決され廃案となったのに対し、郡制改正法案は可決され、貴族院に送付された。衆議院の対応の違いは、府県自治・郡自治に対するこの時期の衆議院の認識を示ものであろう。これ以後の改正論議は、第三回帝国議会までの審議で明らかにされた具体的な改正点をめぐって展開される。これ以後の議論については、続稿で論じる予定である。 4年間の研究により、明治三二年府県制・郡制改正をめぐる法律上の論点とその意味を明らかにしうるようになったと思われる。ただ、改正過程は長期にわたるので、全過程を通した成果報告にはさらに準備と時間を要すると思われる。
|
Research Products
(1 results)