2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530111
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
鈴木 博人 中央大学, 法学部, 教授 (90235995)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 養子 / 養親 / 養子縁組 / 特別養子 / 普通養子 / 未成年養子 / 養子縁組あっせん / 里親 |
Research Abstract |
平成23年度は、連携研究者との研究会を1回開催した。本研究の研究代表者と連携研究者の多くは、2008年11月に行われた日本家族<社会と法>学会の際に、「養子制度の国際比較」というテーマで担当する各国の養子制度について主要な点の比較表を作成した。本研究の上記の研究成果を踏まえたものになる。 各国比較から見えてきたことは、同じく養子制度といってもその実態は国によりかなり異なるものがある。また、法制度も子の福祉のための制度として構想されていても、その内容には当然のことながら違いがある。このような国際的な状況をどう捉えて、日本の養子制度改革につなげるかが検討された。この点について、各国の養子制度関連法制の条文訳を作成することが提案されたが、一部の国については関連条文が幅広く複数の法律に分散的に規定されていることから、統一的な法制としての資料作成が困難であることも明らかになった。そこで、ドイツのように比較的統一的な法制度としての形をとる国については条文訳をつけた資料作成を目指すこととなった。 次いで、日本国内に福祉制度としての養子縁組対象児童がどの程度いるのかについて、乳児院アンケートを行うこととした。このアンケート項目の策定作業に関連して、協力を得られる乳児院長へのインタビューを行った。 養子制度に関する立法提案として条文案も含めて提示するのが本研究の目的であるが、研究会で明らかになったのは、それは成年養子も含めた養子制度全体の改正提案になるのか、特別養子制度を中心にした福祉型養子制度に限定したものになるのかについては、連携協力者にも様々な意見があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画では、初年度に国際比較の対象となり、かつそのなかでもとりわけ日本法の改正方向に有用と考えられる国の関係機関(例えば(家庭)裁判所、福祉機関、養子縁組あっせん機関等)での聞き取り調査を行う予定だった。ところが、研究実績の概要に示したように、日本国内での実態調査の遅れ、および文献調査からうかがえた比較対象国それぞれの違いを踏まえて、どのような聞き取り項目を策定するかに手間取り、初年度に海外調査を実施でになかったのが、初年度の研究計画の最大の遅れである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、平成23年度において実施が遅れている外国調査および当初から24年度に予定していた外国調査を実施する。特に重視すべきは、法制度の基本的な仕組みが日本に類似している国の調査を行うということである。また、それとあわせて国内での要保護児童で養子縁組対象となる児童の置かれている状況把握を行う。さらに、最終年度で立法案を提案するために、外国法の制度を法律条文の翻訳も含めて行い、この点は今後の作業にとっての資料集としての機能をもたせることを目的とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記現在までの達成度の理由で記したように、国内での実態把握の遅れ、国際比較対象国の養子実務の違いの把握の遅れから平成23年度に実施できなかった、ならびに24年度に予定されていた外国調査を実施するための調査旅費、一部通訳謝金に使用する。また、国内アンケート実施の際の郵送料、連携協力者との研究打ち合わせ旅費に研究費を使用する。
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