2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530111
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
鈴木 博人 中央大学, 法学部, 教授 (90235995)
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Keywords | 養子縁組 / 養子法 / 養子縁組あっせん法 / ドイツ青少年局 / 中央養子縁組当局 / 連れ子養子 / 特別養子 / 未成年養子 |
Research Abstract |
養子法改正提案に向けて、日本の養子法および養子縁組実務の実情を踏まえたうえで、具体的な外国法調査項目を決定するとともに、調査対象国での訪問調査対象機関を決定する作業を行った。そのうえで、平成25年度はドイツ連邦共和国・ベルリン州青少年局、ベルリン市シェーネベルク区裁判所家庭裁判所、ベルリン・ブランデンブルグ州中央養子縁組当局、ベルリン工科大学 ヨハネス・ミュンダー名誉教授への訪問調査を行った。 ベルリン市およびブランデンブルク州での調査によって明らかになったのは、ベルリン市およびドイツでの養子縁組対象児童の家族的背景、青少年局による養子縁組あっせん、ならびに支援方法、家庭裁判所における養子縁組手続の進め方、養子縁組記録の管理方法、法制度全体のなかでの養子制度の役割・位置づけである。あわせて、法律条文に直接規定されていない、青少年局が行う養子縁組のための手引きも入手することができた。これらのインタビュー結果および入手資料は、平成26年度に実施するフランス、イギリス等の調査結果を検討する基準となる役割を果たすことが期待できる。 また、日本法および日本の養子縁組実務との違いがあまりにも大きいことが判明した。今後、国際養子縁組に関するハーグ条約の批准が問題になるときに、現行の日本の法制度および実施されている養子縁組あっせん実務は抜本的な見直しが迫られるだけではなく、現行法がそもそも近代養子法の指標とされている子のための養子制度というレベルになお達しているとは言えないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度においては、養子法および養子縁組あっせん法に関する調査項目、訪問調査の際の質問項目が確定し、実際に、ドイツ・ベルリン市およびブランデンブルク州での聞き取り調査を実施することができ、大きな収穫をあげることができた。この調査結果は、本研究での他の国との比較検討、および日本法の位置づけおよび改正点の析出、改正の方向性を決定するための指針を得ることができたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、ドイツ調査との比較を行う材料を収集するために、フランス、イギリス、ニュージーランド、オーストリア、韓国、中国での聞き取り調査を夏までに実施する。アメリカ合衆国については文献調査を行う。これら比較法対象国に関する調査の結果を踏まえたうえで、日本法の改正および新規の制度制定に関する具体的な提案を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度における比較法対象国への訪問調査として実施することができたのは、ドイツにとどまったのが、最大の理由である。これは、比較法対象国での聞き取りに際しての聞き取り項目の決定にやや時間がかかったためである。その結果、海外調査を実際に行うことができたのがドイツにとどまったためである。 平成26年度においては、フランス、イギリス、ニュージーランド、韓国、中国への訪問調査を実施する。最終的には平成26年度末には、外国調査と養子法および関連法の改正提案を作成し、報告書として印刷する予定である。これら調査ならびに報告書作成のための費用として利用する予定である。
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Research Products
(1 results)