2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530115
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
川角 由和 龍谷大学, 法務研究科, 教授 (80204725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 邦博 龍谷大学, 法務研究科, 教授 (00222414)
若林 三奈 龍谷大学, 法学部, 准教授 (00309048)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ヨーロッパ共通私法 / 契約法 / 損害賠償法 / EU法 / 共通参照枠草案 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
初年度である2011年度は、ヨーロッパ私法およびEU私法の展開について、従来の関連研究の成果を踏まえて、さらに検討を行い、研究計画に従い、継続して作業を進行した。とりわけ、本年度においても、外国人との交流研究会を開催し、それと同時に、ヨーロッパ私法、また民法の債権法の改正に関する基本方針などについて基礎的な資料の分析を分析し、またそれを検討する会合を重ねることができた。もっとも、外国の研究者との交流については、東北地方大震災の影響を受けて、当初の予定通りには外国の研究者を招聘することができなかったが、他方で、外国で開催されたいくつかの学会に参加し、また外国への出張を行うこととで、国際交流を深め、ヨーロッパ私法に関する情報を収集することができた。その際には、単に情報を収集するだけでなく、日本法の情報をも発信するように努めた。研究成果としては、これまでの研究作業を踏まえ、さらに最新の動向も加えて、川角由和=中田邦博=潮見佳男=松岡久和編『ヨーロッパ私法の展望と日本法の課題』を刊行することができた。また、ドイツ法との関係で、特別のワーキンググループを作って作業を進めた結果、ドイツ不法行為法の基礎資料として、中田邦博=吉村良一訳ケッツ=ヴァーグナー『ドイツ不法行為法』の翻訳作業を完成させることができ、刊行共同体法した。さらに、共通参照枠(DCFR)にかかわり、その分析のための情報および資料を集め、その翻訳作業を進めている。他にも、本研究の観点から、近時の民法改正作業にかかわり、研究会のメンバーが論稿を発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、 計画した研究会、また国際学会への参加、またそこでの発表を行っている。とりわけ、共同研究者の中田が韓国で開催された比較私法学会で、契約締結上の過失論と民法改正との関係について報告を行い、さらに、ブラジル・リオデジャネイロで開催されたヨーロッパ大学が主催する正義と私法に関するシンポジュウムで日本の集団的消費者被害救済に関して報告を行った。前者は、ドイツでの債務法の現代化の動きを踏まえて、日本法の改正提案を批判的に検討し、後者、集団的な消費者被害の本質は、個々人の個別の権利が救済されないことにあることを指摘し、その際、ヨーロッパでの動きを踏まえて、権利救済の方法として集団的な訴訟の可能性を追求すべきことを表明したものである。 また、これまでの研究作業をまとめることも行い、それを川角由和=中田邦博=潮見佳男=松岡久和編編『ヨーロッパ私法の展望と日本法の課題』として刊行した。さらに、中田邦博=吉村良一訳ケッツ=ヴァーグナー『ドイツ不法行為法』を刊行した。なお、ヨーロッパ民法典の草案として提示された共通参照枠(DCFR)を分析するととに、その翻訳の準備のために作業を精力的に進行させている。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度も、2011年度と同様の方針の下で、これまで通り研究作業を進行させる。ヨーロッパ共通私法の展開において、とくに、EU委員会から、ヨーロッパ共通売買法規則提案が出されており、それに関する分析が新たな課題として設定されることになる。これは、DCFRの分析とともに行うことにする。また、外国私法の情報提供を受け、さらに外国での学会に参加し、また研究会を行うこととする。 とくに、国際比較法学会、ドイツ法曹大会に参加して、国際交流を深めつつ、情報を交換し、新たな動向についての分析を行うこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画に従って使用することとする。
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Research Products
(19 results)