2012 Fiscal Year Research-status Report
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23530115
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
川角 由和 龍谷大学, 法務研究科, 教授 (80204725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 邦博 龍谷大学, 法務研究科, 教授 (00222414)
若林 三奈 龍谷大学, 法学部, 教授 (00309048)
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Keywords | ヨーロッパ私法 / 共通参照枠 / 契約法 / EU法 / 損害賠償法 |
Research Abstract |
初年度である2011年度に引き続き、2012年度も、研究計画に従い、ヨーロッパ私法およびEU私法の展開について、従来の関連研究の成果を踏まえて、さらに検討を継続し、作業を進行させた。 まず、ウィーン大学のマルティン・シャワー教授など外国人研究者との交流研究会を開催し、それと同時に、ヨーロッパ私法、民法(債権法)の改正に関する提案などの基礎的な資料の分析を行い、それを検討する会合を重ねることができた。とりわけ、ヨーロッパ共通参照枠(DCFR)の基礎的な研究として研究会を定期的に開催し、同時に翻訳作業をも行った。外国の研究者との交流のための研究会について、予定通り開催できたことは貴重である。次に、台湾、中国(長春、延辺、北京)など外国で開催された国際比較法学会や研究会に参加した。また外国への出張と交流を積極的に行い、多面的に国際交流を深め、ヨーロッパ私法に関する情報(アジアへの影響も含めて)を収集することができた。その際には、単に情報を収集するだけでなく、日本法の情報をも発信するように努めた。 研究成果としては、これまでの研究作業を踏まえたものを2012年に公表した。2012年の作業については、2013年度中ににおいて発表を予定している。また、とりわけ、上記の共通参照枠(DCFR)にかかわって、その分析のための情報および資料を集め、かつその基礎資料の翻訳作業を進行させており、そうした成果の刊行のための準備を進めている。他にも、本研究の観点から、近時の民法改正などにかかわり、研究会のメンバーが論稿を発表し、研究会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度に引き続き、当初の計画通り、 計画した研究会、また国際学会への参加、またそこでの発表を行っている。とりわけ、共同研究者の中田は7月に否林大学のセミナーに招待され、「契約の内容・履行過程と消費者法」のテーマで講演し、また8月には中国延辺で開催された第二回東アジア民法学術大会における交流集会で、「民法改正と消費者法」との関係について報告した。同じく、北京大学でのセミナーでも同様の報告を行い、中国の民法学者との意見交流を行った。これにより、国際交流と情報収集を積極的に進めることができた。さらに、ヨーロッパ私法の重要な研究素材である「共通参照枠」について定期的に研究会を開催し、現在、ほぼ翻訳作業を終えて、その刊行に向けて準備を進めている。 また、ドイツでの債務法の現代化の動きについて研究を進展させることができた。また、それを踏まえて、日本民法の改正提案を批判的に検討した論文も用意している。さらに、こうした研究を基礎とした日本民法のコンメンタールも出版することができた。以上により、ほぼ順調に計画を進行させて、目的を達成しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度も、これまでの年度と同様の方針の下で、引き続き研究作業を進行させる。ヨーロッパ共通私法の展開において、とくに、ヨーロッパ共通参照枠の基礎研究を踏まえて、それを展開する作業を行うことにする。また、EU委員会から、ヨーロッパ共通売買法規則提案が出されており、それに関する分析を、ヨーロッパ私法的な側面に留意して行うことにしたい。また、北欧などの外国私法の情報提供を受ける機会を設ける。さらに外国での学会に参加し、また共同で研究会を開催する。 今年度は、東アジア民法の共通化への寄与も考える(シンガポールなど)。とくに、ドイツ比較法学会、東アジア民法学術大会に参加したり、また外国人の研究者を招聘する。また共同セミナーを開催したり、ドイツなどでの研究滞在などを行い、国際交流を深め、情報を交換し、新たな動向についての分析を行うこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画に従って使用することとする。具体的には、次の通りである。 第1に、研究会の定期的開催のための国内旅費。第2に、研究資料となるヨーロッパ私法に関する文献の購入。第3に、外国人研究者との交流、また研究分担者が行うヨーロッパ各国の動向の調査のために必要な国外旅費。第4に、必要となる電子機器等の備品の購入費用。第5に、講師謝礼、ヨーロッパ各国での資料蒐集、また研究会資料や専門的知識、情報の提供に対する協力への謝礼や、翻訳校正などに対する経費。
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Research Products
(12 results)
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[Book] 国際物品賣買條約2012
Author(s)
潮見佳男=中田邦博=松岡久和編(申昌善訳)
Total Pages
326頁
Publisher
Fides Publishing Company