2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530224
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Research Institution | Onomichi City University |
Principal Investigator |
足立 英之 尾道市立大学, その他部局等, その他 (70030666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 保 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (00237413)
大住 康之 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (10223819)
井本 伸 尾道市立大学, 経済情報学部, 准教授 (50369196)
稲垣 一之 尾道市立大学, 経済情報学部, 准教授 (70508233)
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Keywords | 中期マクロ経済学 / 失業と賃金 / 価格・賃金の非伸縮性 / 長期不況 / 需要制約 / 稼働率 / 賃金曲線 / 期待成長率 |
Research Abstract |
マクロ経済学は、完全雇用の仮定のもとで経済成長を取り扱う長期理論と、所与の資本ストックと非伸縮的価格・賃金の仮定のもとで景気循環を取り扱う短期理論に分けられる。本研究の目的は、これらの理論ではカバーされない中期の諸問題を分析するための枠組みとなる中期動学理論を展開することである。それによって、日本経済の「失われた20年」といわれるような、相当長い期間にわたって持続する不況や失業などの不均衡現象を分析するための理論を構築することを目指している。中期マクロ経済学の重要性は、R.M. Slow、E. Malinvaud、O. Blanchardなどによって指摘されてきたが、まだ十分な展開がなされていない。 平成24年度には、6回の研究会を開き、研究代表者と分担者のそれぞれが担当するテーマに関して研究成果を発表し、検討してきた。その主な研究テーマは、「需要制約下の経済の成長と変動」「賃金と失業の中期的分析」「オークンの法則の理論的基礎付け」「開放経済における成長と失業の中期的分析」などであった。これらの理論展開のカギとなるのは、稼働率を考慮した生産関数の導入と、実質賃金率と失業率の逆相関関係を表す賃金曲線の導入である。これらの新しい分析用具の導入によって、持続的な不況や失業のもとでの成長を説明することができ、そしてマクロ経済学の短期理論と長期理論でカバーされない諸問題の分析が可能となる。別の言い方をすれば、中期理論は短期理論と長期理論をつなぐ役割を果たすのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書における平成24年度の実施計画では、次の3つの目標を挙げていた。①長期にわたる不況や失業の問題を分析する枠組みとなるような中期動学モデルを構築すること、②その中期動学モデルを開放モデルへと展開し、グローバル化が不況や失業に及ぼす影響を中期的視点から分析すること、そして③この中期動学モデルにもとづいてオークンの法則の理論的基礎を明らかにし、その実証研究を行うこと、である。これらの目標は、平成24年度年度においてほぼ達成され、あとは細部をつめながら論文の形にしていく段階にきている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度までの各担当者の研究成果を論文の形に仕上げ、研究論文集として英文の単行本にまとめて出版する予定である。本のタイトルは、"Studies in Medium-Run Macroeconomics: Growth, Fluctuations, Unemployment, Inequality and Policies"であり、現在の計画では13章からなる。World Science Publishingから出版する予定であり、出版社との契約もとれている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額がプラスになったのは、人件費・謝金が予定を下回ったことによる部分が大きい。次年度のおいては、人件費・謝金が増える予定であり、また研究成果の学会での報告に要する旅費が増える予定である。
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Research Products
(9 results)