2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530224
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Research Institution | Onomichi City University |
Principal Investigator |
足立 英之 尾道市立大学, その他部局等, その他 (70030666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 保 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (00237413)
大住 康之 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (10223819)
井本 伸 尾道市立大学, 経済情報学部, 准教授 (50369196)
稲垣 一之 尾道市立大学, 経済情報学部, 准教授 (70508233)
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Keywords | 中期マクロ理論 / 経済成長 / 景気循環 / 失業率 / 賃金率 / オークンの法則 / 開放経済 / 長期不況 |
Research Abstract |
マクロ経済理論は、通常、完全雇用のもとでの経済成長を分析する長期理論と、価格や賃金が非伸縮的で資本や技術が一定のもとでの景気循環を分析する短期理論とに分けられる。しかし、最近の経済で観察される長期不況や長期にわたる高失業の問題は、長期理論でも短期理論でもカバーできない問題を提起している。本研究の目的は、資本蓄積や技術進歩を考慮しながら中長期にわたる不況や失業の問題を考慮できる中期マクロ理論を展開することであった。 科研費補助を受けた3年間にわたり、月1~2回程度のペースで研究会を開き、研究を重ねてきたが、当初の目標をほぼ達成することができた。その成果は論文集としてまとめ、World Scientific社から英文の研究書として出版する予定である。 われわれの研究の根幹となるのは、中期マクロ動学モデルの構築である。このモデルの特徴は、第一に生産関数のなかに稼働率を明示的に導入している点、第二に失業率の実質賃金率の関係を示す賃金設定式を導入している点、そして第三にケインズの言う「アニマル・スピリット」を考慮した投資関数を導入した点である。これら三つの分析用具によって、中長期にわたる遊休設備や失業の発生を理論的に説明しることが可能となった。 この中期動学モデルを基礎として、「成長と循環」「賃金と失業」「オークンの法則の理論的基礎づけ」「開放経済での失業」などの分析を行うことができた。中期マクロ理論はまだ十分な展開が行われていない分野であり、われわれの研究はこの分野で新しいアイディアを展開できたと考えている。
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