2013 Fiscal Year Research-status Report
適応的学習における金融市場の不完全性と金融政策の有効性
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23530234
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
中川 竜一 関西大学, 経済学部, 教授 (60309614)
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Keywords | 適応的学習 / 期待の異質性 / 学習安定性 / テイラー原理 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究の目的は、人々が「適応的学習」によって期待形成するとき、金融市場の不完全性がマクロ経済の性質および金融政策の有効性にどのような影響を与えるかを明らかにすることである。平成25年度は、交付申請書「研究の目的 テーマIII」について分析するとともに、海外に長期間滞在し、外国研究者と共同研究をおこなった。 第1に、「研究の目的 テーマIII」として、24年度に取り組んだ課題(テーマII)で開発したNew Keynesian 金融マクロ経済モデルに金融市場の不完全性を導入した。そして、資金の貸し手と借り手が異質の学習をおこなっている経済を分析し、金融市場の不完全性が金融マクロ経済の性質、および金融政策の条件に与える影響を明らかにした。 第2に、24年度の研究成果に関して、国際経済雑誌への投稿を通じて得られたコメントを参考にして内容を修正・改善し、その成果を国際経済雑誌であるJournal of Economic Dynamics and Control(査読付き)に投稿した。 第3に、2013年9月~2014年3月まで米国オレゴン大学に滞在し、適応的学習の先端的研究者であるGeorge W. Evans教授およびBruce McGough准教授と研究交流した。滞在期間中には、同大学のセミナー等で申請者の適応的学習と金融政策に関する研究成果を発表し、両研究者と意見交換をおこなった。さらに、両研究者に対して適応的学習におけるマクロ経済分析の共同研究を提案し、2つの論文の執筆を開始した。24年度の繰越研究費および25年度の研究費のほとんどは現地滞在費に充当された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、当初の計画通り、資金の貸し手と借り手が異質の学習をおこなっている経済を分析し、金融市場の不完全性が金融マクロ経済の性質、および金融政策の条件に与える影響を明らかにした(「研究の目的 テーマIII」)。また、平成25年8月~26年3月まで、オレゴン大学に滞在し、George W. Evans教授およびBruce McGough准教授と研究交流した。そのため、「研究の目的」の達成はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度では、25年度に分析したモデルを拡張し、金融市場の不完全性において投資家が互いの行動を観察して適応的学習をおこなう(横並び行動)状況を分析する。そして、経済主体の横並び行動が金融マクロ経済の性質、および金融政策の条件に与える影響を明らかにする(「研究目的 テーマIV」)。引き続き、オレゴン大学George W. Evans教授およびBruce McGough准教授との共同研究体制をとる。同時に、25年度の研究成果を学会発表し、26年度の成果を国内・海外の学会に応募する。また、26年度の成果を国際経済雑誌に投稿する。
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Research Products
(2 results)