2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530254
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
得津 一郎 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80140119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伴 ひかり 神戸学院大学, 経済学部, 教授 (70248102)
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Keywords | 国際産業連関表 / 垂直的特化 / FTA |
Research Abstract |
2012年の4月に世界投入産出データベースプロジェクトが公表した国際産業連関表は,1995年から2009年にかけて国・産業間の中間原材料の取引を体系的・網羅的に記述した極めて重要な統計資料である。本研究はこの国際産業連関表に基づき,国際的な生産ネットワークの構造を実証的に分析することを目的としている。具体的には,独自の計量経済モデルを用いて,第1に2008年の金融危機における世界同時不況と国際的生産ネットワークの構造,第2にFTAと産業構造,についての数量的分析の結果を報告する。 第1の課題について,2008年における世界貿易の急激な減少(貿易大崩壊)の原因を実証的に分析した。これに関する学界の学術的合意は,生産の垂直的特化の発展が国際的経済波及を増幅し,その過程で主として中間財貿易の減少が,貿易大崩壊の主たる原因でいうものであった。しかしながら,投入係数を価格の関数として内生化する独自のモデルによる分析結果は,垂直的特化の進展はむしろ国際的波及の形態を安定化させる要因であることを示した。さらに貿易大崩壊は平均的に約4%の輸出価格プレミアムの発生による供給関数のシフトによって説明できることが明らかになった。 第2番目の課題について,単年データ(2008年)ではあるが,関税構造について,より詳細な情報を有するGTAPデータに基づき,東アジアFTAの経済構造への影響を,応用一般均衡分析に産業連関分析を組み合わせて分析した.FTAにより東アジアのデカップリングは強まるが,日本は,実質ではアジアとの生産ネットワークを若干弱めることが明らかになった。 上記の研究成果については神戸大学で開催した当科研費による研究集会において報告し,参加者からの助言や問題点の指摘に基づき最終論文とし,いずれも国際的査読付き雑誌に投稿審査中であり,2014年度に開催される国際学会にける報告が確定している。
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Research Products
(5 results)