2012 Fiscal Year Research-status Report
欧州自動車産業の生産ネットワークの形成と展開に関する実証的研究
Project/Area Number |
23530263
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
細矢 浩志 弘前大学, 人文学部, 教授 (10229198)
|
Keywords | 生産ネットワーク / 産業集積 / 多国籍企業 / EU東方拡大 |
Research Abstract |
1.平成24年度は,第一に,内外の先行研究を調査・サーベイし,EUとその周辺諸国の経済・産業事情と欧州自動車産業の展開動向,自動車生産・国際分業に関する基礎的な事実関係の整理と統計データの解析を行った。第二に,企業・地域間国際分業の「構造分析」の一環として,EUの旧周辺地域=スペインの産業クラスター分析を進めた。とくに後者については,スペイン現地への調査旅行を実施し,先行研究の指摘を踏まえたうえで欧州生産ネットワークにおける旧周辺地域の分業機能上の役割に関する中間的な総括を行った。 2.研究成果として,EU東方拡大以前の西欧ネットワークにおいて低コスト生産拠点として比較優位にあったスペインでは,東方拡大後(中東欧地域が低コスト拠点として比較優位に立った後)は,商用車・多目的車両の一大開発・製造拠点としての役割を強化し,製造事業に関する高度化が進展していることを実証的に明らかにした。 3.研究成果は,論文ならびに学会発表として取り纏め公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.EUとその周辺諸国の経済・産業事情と欧州自動車産業の展開動向,各産業集積地域の貿易・投資構造の把握ならびにそれに基づく地域・企業間国際分業構造の分析については,東京(日本貿易振興機構等)等への国内調査旅行と,スペイン(本研究計画の分析枠組みにおける「旧周辺地域」) 現地への海外調査旅行の実施によって,研究の前進・充実を図ることができた。 2.旧周辺地域=スペインに関する産業特性分析に関する研究成果を,論文ならびに学会での研究報告として取りまとめ,中間的な総括を行った。この分野では比較的順調に研究を進展させることができた。 3.予定していたチェコ・ハンガリーを主要な訪問先とする中東欧諸国への現地調査については,年度内に実施することができなかった。新周辺地域=中東欧に関するクラスター分析については,現地調査に基づく現在進行中の事実・実態に関する情報整理と文献レビュー・統計資料による検討結果との間で摺り合わせ検証は十分ではない。そのため,産業発展モデルの構築も不十分である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は原則として,前年度までに未達の研究を遂行した後に,漸次本年度の研究計画に移行する。前年度までの研究の進捗状況を踏まえつつ,主要な産業集積地域の現地調査を実施しそれにもとづく各産業クラスター分析を進めた後に,研究の取り纏めと最終総括を行う。 視察旅行は,本年度が計画の最終年度であることを考慮して訪問先を絞る。新周辺地域としてトルコ(非EU新周辺地域)への現地調査を優先的に計画・実施し,次いで中東欧(EU新周辺地域)への調査を計画する。出来るだけ速やかに研究計画で当初予定した研究スケジュールへの復帰・到達を図る。平成25年末までに研究の遅れの挽回を目指す。 海外調査旅行の実施と平行して,EUの新旧両周辺地域間対比を軸に,非EU新周辺地域の特性を重ね合わせ,地域・企業間国際分業構造の多面・多角的な解明に取り組む。 以上を踏まえたうえで,欧州自動車産業のグローバル競争力構造の解明と産業発展モデルの提示を試みることにより,3年間の研究を総括する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費は,前年度からの繰越し予定の助成金と今年度に請求する研究費とを合わせた使用を計画する。本年度に繰り越して使用する予定の助成金は,前年度までに未達の海外現地調査用の旅費として計上した研究費に相当する。前述のように,前年度未達の現地調査は本年度に漸次実施する予定であるため,実施計画書に記載した使用を予定する。
|