2013 Fiscal Year Annual Research Report
欧州自動車産業の生産ネットワークの形成と展開に関する実証的研究
Project/Area Number |
23530263
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
細矢 浩志 弘前大学, 人文学部, 教授 (10229198)
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Keywords | ヨーロッパ統合 / 自動車産業 / 生産ネットワーク / 国際分業 / 産業発展 |
Research Abstract |
本研究は,欧州連合(EU)の東方拡大を契機に中東欧での製造拠点形成が相次いだ自動車産業を対象に,広域欧州で繰り広げられる企業・地域間分業体制の再編とその動態について多面的かつ実証的な検討を加えることにより,現代欧州における自動車生産ネットワークの基本構造と展開のダイナミズムを明らかにし同産業のグローバル競争力構造の解明と産業発展モデルの提示を試みることを目的とした。分析の枠組みとして,欧州の産業集積地を4つ(①新周辺地域=中東欧,②旧周辺地域=スペイン,③非EU新周辺地域=トルコ,④西欧コア地域)に区分し,各地域の産業特性と地域間貿易構造を比較・検討する方法を採用した。 平成25年度は,第一に,中東欧(新周辺地域)・スペイン(旧周辺地域)の産業クラスター分析結果をそれぞれ取り纏め,生産ネットワークにおける分業機能上の役割に関する概念的な総括を行った。第二に,前記研究を基礎に先行研究の指摘を踏まえたうえで,新旧両周辺地域間対比を軸に地域・企業間国際分業構造の検討を行い,欧州自動車産業のグローバル競争力構造の解明と産業発展モデルの提示を試みて研究を総括した。 3年間の研究の成果は学術論文の公表ならびに学会報告等で社会に還元した(出版の都合により次年度以降に刊行予定の図書を含む)。本研究全体をとおして,①自動車産業ではヨーロッパ統合の進展にともない,地理(空間)的拡張(ルーマニア等の興隆)と「高度化」(中東欧でR&D拠点設立,スペインでSUV等の開発)がダイナミックに展開しており,欧州有力メーカーは各社独自の生産ネットワークの形成・活用を梃子にグローバル競争力の強化に乗り出していること,②欧州自動車生産ネットワークは地域特性を熟慮した柔軟な再編が可能な「進化」モデルとして捉える必要性があること等を明らかにし,ヨーロッパの国際分業や産業発展モデルに関する研究を前に進めることができた。
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