2011 Fiscal Year Research-status Report
イノベーション創出に寄与する組織IQ及びその強化に関する研究
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23530307
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
文能 照之 近畿大学, 経営学部, 教授 (30388491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 正次 兵庫県立大学, その他の研究科, 教授 (90029918)
井戸田 博樹 追手門学院大学, 経営学部, 教授 (10352957)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | イノベーション / イノベーション・システム / 戦略適合 / 競争優位 / 組織IQ |
Research Abstract |
イノベーションを手中に収めることに成功している企業の特徴を、組織IQという組織の強みから明らかにすることが本研究テーマの目的である。そこで本年度は、企業の戦略適合性と競争優位性の視点、及びICTの利活用の視点から調査・研究、並びに成果報告を行った。また、これら研究成果を活用し、企業の組織IQを定量的に測定するアンケート調査を設計し、アンケートを実施した。主な研究成果は以下の通りである。(1)中小・ベンチャー企業は、自社の事業ドメインを明確にしたうえで、既存の技術を活用したイノベーションの創出を図るには、経営資源や組織をその取組内容に適合させることが重要となる。一方、新しい技術を活用したイノベーションの創出を図るには、優れた技術開発力を生かすとともに、積極的に新規事業に取り組もうとする組織風土を醸成することが重要となる。(2)プロダクトイノベーションを促進させる要因にソーシャルメディアが成り得るとともに、ソーシャルメディアは製造業よりもサービス業のプロダクトイノベーションに有効である。ただし、ソーシャルメディアを活用するには、それを利用するメンバー間にソーシャルキャピタルの認知的側面である信頼や互酬性の形成が不可欠である。このようにソーシャルキャピタルとソーシャルメディアの活用は、相互補完的な関係にある。これらの成果から、イノベーションの創出に求められる組織IQとすべき項目の一部が抽出でき、上述のアンケートに生かした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年3月に発生した東日本大震災により企業を取り巻く経営環境が悪化し、我が国企業の多くがその影響を受けた。当初の計画では、23年の12月までにイノベーションに関するアンケート調査を実施する予定であったが、企業の経営状況が少しでも回復するのを待って実施するのが、回収率を高めることになると判断し、実施時期を遅らせた。これにより、回収率の低下を防ぐことに成功したが、回収時期が2月末になったため、分析作業が緒についたばかりである。しかし、本年度の前半に、調査時期を遅らせる見返りとして取り組んだ関西大学ソシオネットワーク戦略研究機構の共同利用データや、研究代表の文能が平成19年度に採択された科学研究費を活用して収集したデータを用いた実証分析による成果を上げることができた。また、これらの研究成果の一部を本年度実施したアンケート調査に反映させることが可能となり、研究をさらに発展させることにつながっている。
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Strategy for Future Research Activity |
647社の企業がアンケートの回答に協力してくださり、イノベーションの実態把握とその成果について良いデータを収集することができたと考えている。今後、このデータを活用し、さまざまな計量分析を行う。成果が見られたものについては、その都度、積極的に学会発表や論文発表を行っていきたい。その際、分担研究者とデータの共有を図り、それぞれの専門とする研究視点での分析を進めることとする。これにより、早い段階で研究成果が報告できるようになるとともに、その内容についても高度化させることが可能になると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、アンケートによる分析結果を裏付けるための企業ヒアリングの実施、並びに研究成果の発表を精力的に行いたいと考えている。また、アンケートに回答いただいた企業の中から、追加的な調査にご協力いただける企業を抽出し、従業員のイノベーションへの取り組み意欲とイノベーション成果との関連についての追加調査を実施する予定である。そのため、次年度の研究費は、上記を実現するための企業ヒアリング調査のための旅費、追加的調査のための費用、並びに研究成果を発表するための費用に充当したい。
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Research Products
(5 results)