2012 Fiscal Year Research-status Report
環境市場の成長と政策効果に関するシミュレーション研究
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23530311
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
江頭 進 小樽商科大学, 商学部, 教授 (80292077)
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Keywords | エージェントベースシミュレーション / 環境市場 / ネットワーク分析 |
Research Abstract |
本年度は、道内各企業および市民への環境意識に対するアンケート調査を行った。その結果、企業56、市民243の有効回答を得た。本年度末からはこの結果をネットワーク分析にかけ、そこから道内各主体間の関係性の強さと、キーワードを抽出した。これらの結果はすでに終了している滋賀県内での調査結果と比較され、北海道内の経済主体の環境意識の低さが確認された。 この結果をもとに、環境市場成立の前提条件となる各主体間の意識のネットワーク形成のためのエージェントベースシミュレーション作成に着手した。ここでの鍵となるのは、各主体が持つ知識と意識の違いであり、知識伝達のネットワークと意識向上に関わるネットワークが互いに独立していないのだが、完全に同じではないという点にある。アンケート調査の結果を利用しながら、人々が環境に関して得た情報をどのように利用し、それがたとえば「多少高くても環境対応商品を購入する」といった環境指向型の消費・投資行動につながるのかをシミュレートできるモデルを現在開発中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケート調査によるデータ収集は完了し、実証分析のフェーズはほぼ終了した。現在は、これをエージェントベースモデルに落としているところであるが、主体間の関係性をなるべく恣意的にならないように高い自由度を保持したエージェントの認知メカニズムの作成にやや手こずっている。ただし、外部の専門家の研究協力を得て、この問題は25年度早々に解決できそうである。 問題が複雑であるため、最終的なシミュレーションモデルの完成のために解決しなければならない要因は数多く残っているが、材料はほぼそろった状態であり、おおむね計画通り研究は進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は計画期間の最終年度であり、環境市場生成のシミュレーションモデルを本年度前半に完成させる予定である。それに基づき様々な条件を変えたシミュレーションを行い、各地方ごとの新興市場の成長経路の違いを分析し、その上で一つの政策の効果が各地方ごとにどのように異なるのかを明らかにする予定である。 本研究は、フィールドワークを先行させ、そこから帰納的にモデルを作成するという手法をとる。そのため基本的には定性分析であるが、今後の政策的意義を強調する上でも何らかの形での定量分析への応用を考える。ネットワークの性質上多重相関があることが前提となるため、通常の計量的手法が使いにくいが、ある程度のセグメント化をおこなった上でネットワーク分析を行うことで解決できると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度は、シミュレーションモデルの作成が中心となり、研究環境の整備はすでに終了している。研究費は主にコンピュータ関係の必要に応じた増強(ハードディスク容量の増加)および研究成果刊行のための印刷費、および成果発表の旅費が中心となる。
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Research Products
(4 results)