2011 Fiscal Year Research-status Report
計量経済学的手法による地方消費税の税収配分方式に関する実証分析
Project/Area Number |
23530379
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
堀場 勇夫 青山学院大学, 経済学部, 教授 (70173648)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 正光 関東学院大学, 経済学部, 教授 (40190962)
宮原 勝一 青山学院大学, 経済学部, 教授 (40301585)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 地方消費税 / パネルデータ分析 / 地方消費税の非課税扱い / 政府部門の非課税扱い / カナダHST / 地方消費税の精算方式 |
Research Abstract |
第1の研究テーマ「地方付加価値税における政府部門の扱いに関する理論研究」については、望月「付加価値税における政府部門課税について」『経済学雑誌』(大阪市立大学)2011.12および望月・堀場「付加価値税における政府部門課税について」日本財政学会第68回大会(成城大学)報告として結実している。特に、非課税の扱いとゼロ税率との違い、非課税部門の政府部門の扱いを中心として研究がなされている。 第2の研究テーマ「現行精算方式とマクロ税収配分方式との定量的研究」については、堀場・宮原・望月「地方消費税の税収配分方式に関する実証分析-パネルデータ分析を用いた検証-」『青山経済論集』2011.8にて研究結果を公表した。この研究ノートでは、現行精算方式について、非課税によって生ずる課税標準が適切に反映されていないこと、また非課税に伴う課税標準を人口・従業員数で代理することも統計的結果から課題があることを示した。また、カナダのHST方式を用いたシミュレーションによる県別税収配分額は、おおむね民間最終消費支出額を変数として説明することが可能であるが、説明されない残差は依然として大きく、特に残差がランダム変数として捉えられることが示された。これは、残差の主たる要因である非課税部門による課税標準が多様な要因によって複雑な確率的な動きとなっているためと判断される。また、説明変数に人口を加えた場合、シミュレーションによる県別税収配分額はある程度説明が可能となるが、依然として経済力に依存する非課税に係わる課税標準の部分が説明されず、固定効果として残されているのではないかと思われる。これらの結果から、新たな精算方式では、可能な限り非課税部門による課税標準を反映させる必要があることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非課税部門である政府部門の精算における扱いについては、その理論的整理を行った段階であるが、その研究成果については、望月「付加価値税における政府部門課税について」経済学雑誌(大阪市立大学)2011.12および望月・堀場による日本財政学会第68回大会(成城大学)学会報告として結実している。 また、現行精算方式とマクロ税収配分方式の定量研究については、堀場・宮原・望月「地方消費税の税収配分方式に関する実証分析-パネルデータを用いた検証」青山経済論集(青山学院大学)2011.8として結実し、地方消費税の現行精算方式及びカナダ方式について実証的観点からの評価がなされている。 これらの点から、当該研究については研究計画に比べおおむね順調に進展していると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
政府部門の非課税部門としての扱いについては、国内外の先行論文の整理と理論的な分析を中心として研究を継続する予定である。また、地方消費税に関する実証研究については、地方消費税の清算前と清算後の配分額がいかなる経済要因に影響を受けているかについてパネルデータ分析を用いて研究をする予定である。また可能であればその他の地方税(例えば固定資産税)についても、地方消費税で得られた手法と知見を利用し、パネル分析を応用した同様の研究を行う予定でいる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度、本研究助成金を用いた国際財政学会への参加によって、国際財政学会での国際的な潮流として、租税論と公共選択論からの分析に興味が高まっていることが判明した。地方税についても、従来の租税の外部性問題を中心とした分析から、地方税体系全体を見据えた地方税のあり方が問われているであろう。本研究の対象である地方消費税についても、地方消費税の精算のあり方、地方消費税の経済効果、地方法人課税との関連性、公共選択論的な視点からの検討など、新たな視点を加味した分析が必要と思われる。そこで、これらの点を中心として、国際財政学会での情報・資料収集のために、国際財政学会(ドイツベルゲン大会2012.8.16-19開催)への参加費用を予定している。 また、11年度から継続研究として実施している、政府部門の非課税の扱いに関する理論的分析のための書籍購入費用・資料収集費用、及びパネルデータ分析を用いた実証研究のために必要となる機器及びデータの収集費用を予定している。
|
Research Products
(4 results)