2011 Fiscal Year Research-status Report
暴利商人と経済制度-1918年から1948年までのポーランド経済とマイノリティ
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23530400
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
松家 仁 小樽商科大学, 商学部, 教授 (50255585)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 ポーランド共和国 |
Research Abstract |
平成23年度は、平成23年8月末から9月中旬および平成24年度3月中旬の二度にわたって、ポーランド共和国に出張し、戦間期ポーランド経済とマイノリティという研究課題に関連する文書館所蔵資料および刊行資料(日刊紙・雑誌など)の閲覧・分析を行った。 平成23年8月末から9月までの出張においては、ポーランド南部の最重要都市クラクフにあり、国内で2番目の規模を誇るポーランド国立ヤギェウォ図書館(Biblioteka Jagiellonska)および国立文書館-クラクフ(Archiwum Panstwowe - Krakow)を訪問した。前者では主にクラクフにおいて戦間期に刊行されていたポーランド語日刊新聞(Nowy Dziennik, Ilustrowany Kurier Codzienny)を閲覧し、重要記事の閲覧・複写を行った。またそれと並行して、後者の国立文書館-クラクフでは、クラクフ県庁の食糧配給に関する部局(県価格調査委員会・食肉供給関係ファイルおよび製粉所管理に関する官庁)の行政資料の閲覧・メモを行った。 平成24年3月のポーランド訪問においては、ワルシャワ市に滞在し、ポーランド最大の国立大学図書館であるワルシャワ大学図書館(BUW)において、ワルシャワで戦間期刊行されていたポーランド語日刊紙(Nasz Przeglad, Przedswit, Robotnik)およびイディッシュ語の専門雑誌の閲覧・複写を行った。それと同時に、ポーランド現代史の最重要文書館である近現代史文書館を訪問し、同じく戦間期のポーランド外務省関係ファイルおよび内閣議事録に関する資料収集を行った。 それ以外の期間においては、前述の複写資料の整理・翻訳を行い、戦間期の食糧経済と民族問題に関係する論文の執筆を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画は、ポーランド主要都市を地理的な研究対象としており、また分析対象期間も1919年から1939年という比較的長期間(20年)にわたっている。したがってポーランド各地で刊行された膨大な量の日刊紙・専門雑誌、またポーランド各地の文書館に保存されているさまざまな行政資料の閲覧と分析が必要とされる。それゆえ、史料・メモを断片的に閲覧し、論文にまとめて逐次発表していくという形での研究成果の公表は本研究計画上、事実上不可能である。 本研究計画では、論文の基本的な構成を構築する過程において、ポーランド各地で起こった個々の断片的な歴史的事件を、戦間期全体の歴史情勢の流れの中に1つずつ正しく位置づけることが必要とされており、それゆえ研究計画の初年度は資料の収集と分析に研究活動を集中させるという当初の計画に照らして研究が進展していることを配慮すれば、おおむね順調に本研究計画が進展しているとの評価は妥当である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には、平成23年度に研究計画上配置されていた、国会図書館・外務省外交史料館(国際連盟理事会関係資料)の調査・閲覧を延期して実施する予定である。またこれと並行して、戦間期ポーランド経済における製パン・製粉業を中心としたユダヤ人マイノリティ経済に関する論文の基本的枠組みを完成させる予定である。 平成25年度からは、前掲論文の執筆を進めるとともに、精肉産業とユダヤ人問題についての分析も並行して実施する、またこれらとともに、本論のもう一つのマイノリティ問題であるドイツ人問題に関する資料調査を本格的に開始したい。具体的には、戦間期において刊行されていたドイツ語日刊紙の読解を進め、これまで収集してきた一次資料と突きあわせつつ、論文の基本的な枠組み構成の準備を行う予定である。 その後平成26年度より、食肉業とユダヤ人問題、ならびにポーランド西部におけるドイツ人マイノリティ問題についての論文の執筆にとりかかる予定である。これらの論文については、平成27年度以降の完成を目標としている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前述の国内出張に必要な経費および具体的な執筆の進行に伴う備品の購入費を段階的に執行する予定である。具体的には、平成24年の夏季期間および授業負担の軽減される後期において、何回かの国内出張を行い、各地に保存されている研究課題に関する文献・一次資料の調査を行う予定である。 また論文執筆の進展に応じて、不足する史料の存在が明らかになった場合には、平成24年9月および平成25年3月に再びポーランド出張(ワルシャワ市およびポズナン市)を行う予定である。とりわけドイツ人マイノリティ問題に関する論文の執筆においては、ポーランド西部の中核都市であるポズナン市への出張は不可欠である。滞在予定図書館・文書館としては、ポズナン・アダム・ミツキェヴィッチ大学図書館(Biblioteka Uniwersytecka w Poznaniu)および国立文書館-ポズナン(Archiwum Panstwowe - Poznanが考えられ、前者においては戦間期の新聞の調査、後者においては県庁・警察関係の資料の閲覧を計画している。
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