2012 Fiscal Year Research-status Report
暴利商人と経済制度-1918年から1948年までのポーランド経済とマイノリティ
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23530400
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
松家 仁 小樽商科大学, 商学部, 教授 (50255585)
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Keywords | 国際情報交換 ポーランド共和国 / 国際情報交換 ドイツ連邦共和国 |
Research Abstract |
平成24年度は、平成23年度の「次年度の研究費の使用計画」において説明してあるように、史料不足が明らかになったため、平成25年3月から4月にかけてポーランド共和国ポズナン市に出張し、ポズナンのアダム・ミツキェヴィッチ大学総合図書館および国立文書館ポズナンで資料調査を行った。前者では戦間期ポーランドの日刊紙のマイクロフィルムのチェックを行い、これまでの調査で不足していた記事の追補につとめた。また後者においては、当館所蔵の、ポズナン市政資料(Akta miasta Poznania)、ポズナン郡庁(Starostwo Grodzkie miasta Poznania)およびポズナン商工会(Izba Przemyslowo-Handlowa w Poznaniu)などの戦間期ポーランドにおける社会経済史資料の収集に務め、第一次大戦直後(1919年)から戦間期(~1939年まで)の商業活動について、多面的な理解が可能な資料を発見できた。 またそれ以外の期間に関しては、研究に必要な備品の購入を継続的に行い、また前年度に調査した資料の分析を行った。具体的にはクラクフ市の同職組合議事録文書の整理・読解、およびワルシャワで収集した日刊紙の読みなおし、さらにワルシャワの近現代史文書館で収集した資料の調査・翻訳、論文へのまとめ直しを行った。また国内への調査旅行に関しては、ネット環境の整備(アジア歴史資料センターにおける文書の公開)のため、さしあたり必要な文書に限定してインターネットでの調査を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度から開始した論文の執筆が順調に進んでいる。とりわけ昨年度に具体的に示した「戦間期ポーランド経済における製パン・製粉業を中心としたユダヤ人マイノリティ経済に関する論文」(正式なタイトルは未定)の基本的枠組みはほぼ完成し、現在、論文としての発表できる形にまとめつつある。またそれと並行して本研究計画の枠内で、第一次大戦直後の労働者問題(日曜休業か土曜休業かの問題)についてや、食糧経済の技術的な枠組みを取り扱う著書(ただし共著)の準備も行なっている。 食肉業については昨年度収集したクラクフ市のデータの解析を現在進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度については、前項で示した論文の完成を目指し、引き続き執筆を進める予定である。具体的には、基本的枠組みから具体的な論稿というちゃんと発表できる形へと論文執筆を進めていくつもりである。そのための史料の再チェックを進めつつ、より適合的な資料の調査・発見に努め、本年度ないしは次年度には国民に分かる形で発表することを目標としたい。 また前項で言及した著書についても、ここ数年のうちに完成させるために、論文の基本的枠組みの構築を進めている。さらに精肉業については、関連する同時代の雑誌の再チェックの段階にまで進めたいと思っている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、勤務校で学科長の任務を抱えており、それと調整しながら研究計画を進めなければならない。しかし論文が完成に近づくに従い、論拠を明確化するには、どのような資料が足りないのかが、より明瞭なものとなってくると思われる。そのため、さしあたり論文の執筆に研究の重点を置きつつも、場合によっては海外ないしは国内文書館での資料調査も必要となってくると思われる。
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