2013 Fiscal Year Research-status Report
暴利商人と経済制度-1918年から1948年までのポーランド経済とマイノリティ
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23530400
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
松家 仁 小樽商科大学, 商学部, 教授 (50255585)
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Keywords | 国際情報交換 ポーランド / 国際情報交換 ドイツ |
Research Abstract |
平成25年度前半は、前年度末からのポーランド共和国ポズナン市などでの資料収集調査旅行から帰国し(4月6日)、その際収集した文献・資料の整理・解読を行った。また前年度から継続している「戦間期ポーランド製パン業におけるユダヤ人問題(1924-1939)」の執筆に取り組んだ。その過程で、近隣諸国での戦間期製パン業における諸問題との比較研究の重要性を再認識し、25年度後半からはポーランド周辺国における戦間期の製パン業に関する先行研究の調査を行ってきた。 また平成25年度後半には、平成26年9月17~21日にポーランドで開催される学会、「第19回全国ポーランド歴史家大会」(Powszechny Zjazd Historykow Polskich シュチェチン市-かつてのドイツ領シュテッティンにて開催)への参加を打診され、その「ポーランド人が20世紀の世界大戦をいかに経験したか」(Jak Polacy przezywali wojny swiatowe w XX wieku?)と題する部会で報告するための準備を開始した。この発表は本研究の前提条件を準備した第一次大戦期における手工業者の状況を取り上げるものであるが、また同時に、本研究の背景となる第一次大戦期および、本研究に直接関係する第一次大戦戦後直後の状況について分析を行うものでもあるので、本研究の遂行にとってきわめて有意義なものとなった。 なお、平成25年度は勤務校における学科長の任務を遂行したため、その都合上海外渡航による資料調査は4月以降、断念せざるを得なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヨーロッパ史、とりわけポーランド史においては、第一次大戦終結以降もそれまでポーランドが分割され「国民国家」が奪われていたという歴史的事情のため、ポーランド史研究の遂行においては、周辺諸国における諸経験との比較研究が極めて重要であるため、その観点から、執筆中の前掲論文の見直し作業を現在行っている。 またこれまでの国際協力の結果として、すでに述べたように前掲学会への参加が決まっており、そこで予定されている報告「第一次大戦期におけるポズナン市およびドイツ占領地域諸都市における食糧配給およびその民族関係への影響」の準備・執筆に従事してきている。 ちなみに平成24年度実績報告における「次年度の研究の使用計画」で述べたように、平成25年度は小樽商科大学商学部経済学科学科長という立場にあったため、その任務状況に見合った研究計画を立てざるを得なかったことについてもここで付記しておきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は平成25年度に引き続き、これまで行ってきた製パン業に関する研究を周辺諸国との比較研究を踏まえた形で推進するとともに、前掲の報告論文の執筆にも並行して取り組む予定である。また今年度9月の学会報告に伴うポーランド滞在を利用して本論文に関する資料の収集を行い、ドイツとの関連性を追求しつつ本研究の資料的基礎を充実させる予定である。さらに製パン業以外の手工業分野へと研究を拡大するとともに、すでに述べた学会参加を通じて、ポーランドを中心としたヨーロッパの研究者との交流を深めつつ、本研究に関する国際的な研究動向をさらに調査する予定である。とりわけユダヤ人問題に加えて、ドイツ人問題や隣国との関係についても調査を進展させることを検討している。 すでに述べたように平成25年度は学科長任務のため資料収集のための海外旅行を最小限度でしか行えなかったため、本研究を資料収集・学術交流という観点からさらに進展させるために、平成26年度には積極的に在外研究の機会を設ける予定である。前掲の国際学会参加に加えて、ポーランドのさまざまな学術機関との交流を推進し、さらに長期的な海外渡航の機会があればそれを活用して、本研究に関する資料収集についてもより精力的に継続することを検討している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年度に本研究と関係する国際学会(前掲)に参加することになった為,その旅費の一部を繰り越すこととなった。また本務校の学科長業務が忙しく平成25年度に国内で可能な業務を優先して行ったため。 平成26年度9月の国際学会参加経費の一部及び、その他のポーランド渡航(資料調査・国際研究交流)経費がかなり見込まれる。
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