2014 Fiscal Year Research-status Report
暴利商人と経済制度-1918年から1948年までのポーランド経済とマイノリティ
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23530400
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
松家 仁 小樽商科大学, 商学部, 教授 (50255585)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / ポーランド共和国 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、10月より日本学術振興会・海外特定国派遣に基づく海外研修のため、ポーランド科学アカデミー歴史学研究所ポーランドドイツ関係史およびドイツ史研究室(ポズナン)において研究に従事している。本研究と上記の海外研修はドイツ人マイノリティ問題という点で重なっており、そのため本研究の資料収集においても大きな進展が見られた。 上記の海外研修実施のための準備が9月にずれこんだため、9月19日予定のポーランド歴史家全国大会における報告「第一次大戦におけるポズナン及びドイツ占領地における配給政策」は、代読という形になってしまった。しかしポズナンで2月に行われたEU協賛による国際ワークショップ「アジア言語・文化の教育における対話の中の文化」において、本研究成果の一部として「1924-1939年のクラクフ製パン同職組合内部でのポーランド・ユダヤ人間の競争」の報告を行うなど、在外研修は本研究の成果発表にも役立った。また日本国内向けの研究成果の発表に関しては、後述するように『歴史と経済』誌に査読論文を掲載することが2月に決定した。 平成26年10月からの長期研修期間中、国立文書館(ポズナンArchiwum Panstwowe w Poznaniu)において資料調査を行っている。ここで平成24年度から行ってきたポズナン市政資料(Akta miasta Poznania)、ポズナン商工会(Izba Przemyslowo-Handlowa w Poznaniu)およびポズナン県庁資料(Urzad Wojewodzki Poznanski)の戦間期の行政・経済団体活動に関連する文書調査を継続しており、戦間期ポーランド商業の問題点を解明する資料を多く入手することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における「暴利商人」研究において重要なファクターであるユダヤ人マイノリティについて、平成23年度に行ったクラクフにおける資料収集に基づき、論文「戦間期ポーランド製パン業におけるユダヤ人問題(1924-1939)」を『歴史と経済』誌に投稿し、2月に掲載が決定した(228号、2015年7月以降刊行予定)。現在食肉など他分野についても研究を進めており、さらにポーランド西部における食品産業における生産・流通における諸問題に関する資料収集も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように食品産業分野における本研究の課題に関係する資料収集をポーランドで実施しつつ、引き続き「戦間期ポーランドにおける製パン機械化」に関する論文の執筆を継続する予定である。また製パン以外の食品分野およびドイツ人マイノリティ問題に関しても、資料の分析を続けており、その論文の完成も目指している。 そのため平成27年度後期には、一次資料の補充に加えて、平成26年度までに培ってきた外国研究者との学術交流を維持しつつ、ポーランドおよびドイツへの資料収集目的での出張を計画している。また国内での出張計画についても、海外出張との期間的な調整を図りながら実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究計画立案以降に、学振海外特定国派遣が決定したため、9月の学会参加が文書参加となり、また平成26年度の海外渡航費の負担がなくなり、支出計画が大幅に変わったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度には、ポーランドからの文献・資料の購入および輸送のための経費、さらに後期の海外渡航のための経費が必要となったため。
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