2013 Fiscal Year Annual Research Report
第2次世界大戦後西ドイツにおける難民・被追放民の受容と社会・経済統合の史的研究
Project/Area Number |
23530421
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
西田 哲史 創価大学, 経済学部, 准教授 (50440243)
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Keywords | 経済史 / 現代史 / 移民史 / ドイツ |
Research Abstract |
平成25年度4月~7月の期間は、初年・次年度にドイツの各文書館で入手した史資料の整理・分析とともに、先行研究の確認と関連史資料の特定のための情報検索および収集のための活動に費やした。また、大学の夏期休暇に訪問予定の文書館に問い合わせをし、図書・論文等の関連史資料の所在確認を行った。 8月には、文書館所蔵文書の調査のため、ノルトラインヴェストファーレン(NRW)の州立文書館(デュッセルドルフ)と鉱山文書館(ボーフム)を訪問した。前者文書館では、第2次大戦後、ドイツ東部地域から大量流入した難民・被追放民のNRWへの受容に関する文書のうち、特に住宅問題に関わる文書と、当該テーマに関する同時代の新聞記事を閲覧した。後者文書館では、ルール地方の石炭産業が難民・被追放民の受容とどのように関わったかを示す文書を閲覧した。さらにビーレフェルト大学図書館とフンボルト大学図書館では、2次文献と連邦被追放民省が発刊した同時代の史料・文献の複写を行った。また昨年同様、現在フンボルト大学の歴史学研究所に在籍し、移民研究に詳しいM・ミュンツェル博士と懇談し、種々助言を受けた。 9月以降は、これまで収集した2次文献を含む史資料とドイツ調査の結果の分類・分析といった研究作業の継続と論文の執筆に着手した。この作業を通じて、次のことが判明した。すなわち、第2次大戦後の西部ドイツに成立をした諸州の中で、NRWは難民・被追放民の受容に最も消極的であった反面、ドイツ経済復興の要でもあった同州内のルール-地方の石炭産業は、戦時中に動員されていた強制労働者や外国人労働者に代わる新たな労働力として難民・被追放民の受容に前向きであったこと。また、炭鉱夫に限らず、熟練労働者を被追放民が多く出た地域からまとめて招集しようとした事例など、新たな発見があった。この点は本研究遂行上の大きな成果となり、現在投稿論文を準備中である。
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