2012 Fiscal Year Research-status Report
人事プロフェッショナルの多技能化に関する実証的研究:人的資源の全体最適化に向けて
Project/Area Number |
23530478
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
井川 浩輔 琉球大学, 観光産業科学部, 准教授 (80433093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
厨子 直之 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (40452536)
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Keywords | 経営学 / 人的資源管理 / 人事プロフェッショナル / 多技能化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ナレッジワーカーの活性化を企画・支援する人事プロフェッショナルの実態について、多技能化というコンセプトを用いて明らかにすることである。また、人事プロフェッショナルが保有するスキルそのものに焦点を絞るだけではなく、多技能化の個人や職場へのポジティブな影響や、職場において多技能化を実現するための方法などを確認することがその具体的目的となる。交付申請書において示したように、平成24年度の研究実施計画はインタビューを中心とした質的予備調査を行い、平成25年度に実施を予定している質的本調査の足がかりをつくることであった。 平成24年度研究実績の概要であるが、質的予備調査の具体的内容は2つに要約できる。1つは、部長クラスの人事プロフェッショナルに対して長時間にわたるインタビュー調査を行ったことである。その聞き取りにおいて収集された質的データの中で、特に重要性が高かった内容として、例えば、実際に人事部長が人的資源の全体最適化を実現する上で、「どのようなデータに着目し課題を抽出しているか」「どのような判断に基づき仮説を立てているか」に関連する具体的な語りがある。このようなデータは、最終的に人的資源の全体最適化も射程に入れようとしている本研究に対して、一定の意義を有するものと考えられる。 重要性が高かったもう1つの取り組みは、様々な業界の人事プロフェッショナル21名を対象に、自由記述式のアンケート調査を行ったことである。具体的には、公益財団法人が開催した研究会に参加していたメンバーから、人事プロフェッショナルの多技能化とその効果、促進要因などに関するデータを収集した。これらのデータは質的本調査で用いる分析枠組や質問項目を検討するうえで極めて重要なものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の現在までの達成度は、次のように整理できる。平成24年度に実施した人事プロフェッショナルへのインタビュー調査では、長時間に及ぶデータ収集を行ったことによって、多技能化の実態を現場における行動や態度という具体的なレベルまで掘り下げ一定の成果をあげた。しかしながら、インタビュー調査におけるサンプル数は限られていたため、その調査結果の一般化可能性を検証する必要があった。 そこで、このような状況を改善するために、自由記述式のアンケート調査を多様なバックグラウンドを有する人事プロフェッショナルを対象に実施した。アンケート回答者の業種には製造業からサービス業まで一定の多様性が含まれ、回答者の役職も非役職者から部長までと多岐にわたっている。このような属性の回答者に対して、多技能化の人事プロフェッショナル個人に対する効果に関しては、例えば、「『複数の人事業務を理解していること』が、あなたの仕事における満足や成長に及ぼす影響をお書きください。」という質問を行った。このような質問に対する回答として、例えば、「多面的に人事業務を捉えることができ、満足や成長につながる。」などのデータを得ることができた。 質的予備調査が研究計画の基軸であった平成24年度に、上記した2種類のデータが収集されたことは、自己点検として一定の評価を行うことができよう。なぜなら、質的本調査において用いる分析枠組や質問項目の妥当性について、質的に深いデータと質的に広いデータという異なるタイプのデータに基づき確認できたためである。平成25年度に実施する質的本調査において行う予定であった一般化の検討を、後者のタイプのデータを用いて平成24年度中に実施できたことは研究推進上極めて重要なことである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究に関する今後の研究の推進方策について、年度ごとに整理する。 平成25年度は、4月から6月頃、これまで行ってきた文献調査や質的予備調査などの結果をもとに、研究代表者と研究分担者が打ち合わせを行い、年間計画を作成する。7月から9月頃、研究代表者と研究分担者が分析枠組や質問項目に関する最終確認を行った後、研究協力者に紹介していただいた企業などの同意を得たうえで、質的本調査を行う。10月から12月頃、質的本調査に関する事例間の比較分析を行うとともに、分析結果に応じて追加的な調査を実施する。1月から3月頃、分析結果を中心とした論文を執筆して学会誌などに投稿する。 平成26年度は、4月から6月頃、本研究開始時から継続的に行っている文献調査と平成25年度に実施予定の質的本調査の結果をもとに、研究代表者と研究分担者が打ち合わせを行い、年間計画を作成する。7月から9月頃、研究協力者が所属している企業などの同意を得たうえで、量的予備調査を行う。10月から12月頃、量的予備調査の結果を分析して、質問項目の再検討を行う。1月から3月頃、調査結果を紀要などにおいて公刊する。 平成27年度は、4月から6月頃、文献調査と量的予備調査の結果をもとに、研究代表者と研究分担者が打ち合わせを行い、年間計画を作成する。7月から9月頃、研究代表者と研究分担者が分析枠組や質問項目に関する最終確認を行った後、研究協力者に紹介していただいた企業などの同意を得たうえで、量的本調査を実施する。10月から12月頃、量的本調査の結果を分析する。1月から3月頃、分析結果を中心とした論文を執筆して学会誌などに投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度(平成25年度)の研究費(直接経費700,000円)の使用計画について、その具体的内容を費目別に整理する。 第1に、「物品費」であるが、300,000円を予定している。その内容は平成25年度に実施を予定している質的本調査の準備に関するものであり、その内訳は、人事プロフェッショナル・戦略的人的資源管理・ナレッジワーカー・多技能化・定性的調査法・定量的調査法等に関係する図書、整理用ファイル等文具、デジタル機器関連消耗品、などがあげられる。質的本調査の状況に応じて、収集されたデータの分析に必要なデータ解析用ソフトウェアを購入する可能性がある。 第2に、「旅費」であるが、300,000円を予定している。その内訳は、質的本調査への同意を得るための神戸人事研究会への参加、質的本調査を行うための企業への訪問、研究や調査の打ち合わせや質的本調査の結果分析を行う研究会への参加、などがあげられる。質的本調査の分析結果によって、企業への訪問回数は変動する可能性がある。あまりにも訪問回数が増えそうな場合は、スケジュールを調整して旅費を管理する。 第3に、「その他」であるが、100,000円を予定している。その内訳には、文献調査等で用いられる学術雑誌印刷費用やその印刷物の郵送に関する費用、などが含まれる。文献は研究代表者と研究分担者の間で共有するようにする。
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Research Products
(1 results)