2011 Fiscal Year Research-status Report
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23530497
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
大西 勝明 専修大学, 商学部, 教授 (40083654)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際競争力強化・情報交流・ベトナム / 技術導入・ベトナム / 産官協力・中国 / 現地化・中国 / M&A・中国 |
Research Abstract |
日系電子メーカーのアジアにおける国際分業の実態を明確にすることを課題に、他の研究業績と比較しつつ、電子機器の生産、輸出入、開発動向の把握を試みた。特に、本年度以下の5点にわたる研究を実施してきた。1.著書の発行:大西勝明(2011)『日本情報産業分析-日・韓・中の新しい可能性の追究-』唯学書房(314ページ)を発行した。本書において、高度成長期以降、現在に至るまで、日本情報産業の展開の特殊性を韓国、中国企業等と比較しながら明確にしてきた。現在、日本の情報産業は厳しい状況に直面しており、リストラクチャリング、国際化、企業買収、国際的戦略提携等多様な戦略を展開し、再編成を推進している。国際分業の実態を解明するという課題は、新たな局面に瀕している近年の日系電子メーカーの動向からして、より重要になってきていることを再認識している。 2.文献、資料の収集:日本、中国、ベトナムの情報産業に関連する文献、資料を収集し、特に、それぞれの国の産業や企業の現況や問題点の確認、新たな分析視角を模索するよう試みてきた。3.PC、プリンター等を購入し、効率的な研究の推進、研究環境の整備を進めてきた。 4.国外および国内での実態調査の実施:ベトナム・ハノイ、中国・上海、国内の北上工業団地、高知で実態調査を実施し、現状や問題点の把握に努めてきた。ベトナムでは、現地国有企業、上海では、日系電子部品メーカー等に関する調査を実施し、日系企業による現地人の登用、現地部品の調達、現地市場の開拓等積極的な国際化の進展を確認してきた。また、液晶工場の調査が有意義であった。 5.専門家との情報交換の推進:『半導体新聞』の編集長、ベトナム国民経済大学ホア教授等と情報交換の機会を持ち、研究進捗の示唆を得てきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の理由により、適切な研究活動を実施することが出来た。 1.十分な準備作業:準備作業を進めてきており、研究目的の絞り込みが出来ていたことがある。2.研究環境整備、統計、資料収集に関し、おおむね計画通りに対応出来ている。 3.国外、国内の調査に関しても、適切な情報提供者、協力者に恵まれ、予定した調査を実施することができた。 ただ、研究目的と調査との関連では、必ずしも、研究目的に合致した体系的な調査には至っておらず、今後、十全な調査実施を推進していく必要がある。なおも、日系電子メーカーの現況、国際化は、激変している。特に、一部企業の業績悪化とリストラクチャリングの進展は想定を超えた展開している。その点で、研究の意義は高まっているのではあるが、研究の射程を広げたり、深めたりする必要性を感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、研究計画において明示した枠組みを前提に、まず、文献、資料、統計書の収集を試み、歴史的および現代的な日本電子メーカー、情報産業に関連する動向把握を深めていく。国別、業種別、企業別の国際分業に関する典型的なパターンを国内、国外の調査を実施して、確認していく。とりわけ、韓国企業との対抗を軸に、日本情報産業の再編成が進められており、この点にも、検討が加えられる必要がある。また、一部企業が、不況の中で、抜本的なリストラクチャリングや国際化を展開しつつあることから、射程を広げた研究が不可欠になっている。それゆえ、リストラクチャリングや国際化に関する企業別動向を詳細に確認していく作業を試みていきたい。 電子メーカー、情報産業を研究する研究者、実務家等との会合を持ち、また、国内、国際学会(いずれも、発表予定あり)で中間報告的な発表をし、状況把握や分析を深めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基本的に、既に提出してある研究計画を踏襲し、調査活動を軸に、研究費を使用予定でいる。具体的に、210千円の間接経費の他、直接経費として、国内旅費62千円、ベトナム、中国等外国旅費440千円、研究補助・専門的知識の提供・通訳等への謝金152千円、その他、会議費、複写代等46千円、合計700千円を予定している。また、平成23年度における次年度使用額は、旅費、人件費、その他で生じたものであるが、この金額は、次年度、文献資料の購入と調査実施に充当予定でいる。 したがって、次年度は、最新の動向把握のためのベトナム、中国等での調査を中心に、国内調査、専門家からの情報収集等が、研究費の過半を占めることになりそうである。一部、余裕が出るような場合には、文献・資料・統計の収集をも試みていきたい。
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