2013 Fiscal Year Annual Research Report
「個人化・私化・心理化」論の展開-社会概念の再構築を目指して
Project/Area Number |
23530617
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
片桐 雅隆 千葉大学, 文学部, 教授 (90117937)
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Keywords | 個人化 / 私化 / 心理化 / 自己論 / 現代社会論 / 社会的なもの / 心的なもの |
Research Abstract |
本研究の研究目的は、従来個別に論じられてきた個人化、私化、心理化を総合的に整理し、現代社会を見る理論的な枠組を作ることにあり、その枠組に基づいて、日本を含めた現代社会の具体的なあり方を展望することにあった。また、それらの理論的かつ現代社会論的な展開を、グローバルな研究のネットワーク、具体的には南オーストラリア大学・ホーク研究所長(申請時は、フリンダース大学所属)のA.エリオット教授らの研究グループと共同で行うことも、本研究の大きなポイントであった。 本研究の最終年度である平成25年度は、研究の補足やまとめを第一義とする年度とされたが、グローバルな研究の面で更なる展開を見た年度でもあった。それは、平成26年3月18日から21日まで3日間にわたって、南オーストラリア大学・ホーク研究所で、オーストラリア、日本、イギリス、香港、台湾などの20人あまりの研究者による震災後の現代日本をめぐる研究報告会を開いたことである。これは、科学研究費の他に、国際交流基金を獲得することで進展してきた共同研究の成果の報告会でもある。そこで、申請者は、個人化、私化、心理化の総合的な枠組を、「“社会的なもの”と“心的なもの”」という枠組でとらえ直し、震災後の現代日本社会の現状を報告した。 本研究の総合的なまとめとしては、「『社会的なもの』と『心的なもの』-心理化をとおして見る自己と社会」という論文を『心理学評論』(平成26年12月刊行予定)誌上で執筆した。本論文は、個人化、私化、心理化の総合的な枠組を、すでに指摘したように、「“社会的なもの”と“心的なもの”」という枠組でとらえ直してあらたに展開したものである。 このように、本研究では、3年間での研究計画通りに、理論的な枠組の整理やあらたな提出、それに基づく現代社会の分析、また、グローバルな研究の進展などの点で、十分な成果を出すことが出来たと判断している。
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