2013 Fiscal Year Annual Research Report
質的データとしてのライフストーリーのアーカイヴ化と<調査遺産>継承の経験的研究
Project/Area Number |
23530619
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小林 多寿子 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (50198793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 厚 立教大学, 社会学部, 特定課題研究員 (80153948)
井出 裕久 大正大学, 人間学部, 教授 (50223128)
小倉 康嗣 立教大学, 社会学部, 准教授 (40626199)
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Keywords | 質的調査データ / アーカイヴ化 / リサーチ・ヘリテージ / ライフストーリー / インタビュー / 社会調査法 / 二次利用 / デジタル・データ化 |
Research Abstract |
1970年代末のライフストーリー法リバイバル期より数多く蓄積されてきた質的調査データはいま、歴史的価値を持ち始めた調査資料の管理保存や二次利用の可能性をめぐってその扱われ方が問われている。そこで質的調査研究におけるデータ実態と問題点を明らかにし、今後の可能性を検討するために、<調査遺産>とアーカイヴ化という視点から質的調査データの経験的研究に取り組んだ。 本研究ではとくに多様な質的調査データのなかでもインタビューによるオーラルデータやライフストーリーとそのアーカイヴ化の問題に照準して、質的調査データのアーカイヴ化問題を、1)社会調査としてのアーカイヴ化、2)<調査遺産>としてのアーカイヴ化、3)個人的語りの歴史的価値に鑑みたアーカイヴ化という3つの局面に整理して研究を進めてきた。具体的には、①質的調査研究者への現状調査、②アーカイヴの事例調査、③具体的な質的調査の資料群を考えるという3つの調査を実施して実態の把握とアーカイヴ化の可能性を検討してきた。 3年間の研究期間中、1、2年目はおもに現状把握のアンケート調査とインタビュー調査、アーカイヴ機関での実態調査と質的研究者の事例調査を実施し、後半では<調査遺産>をめぐるシンポジウムの開催や、研究成果の学会発表や印刷物での公表に取り組んだ。とくに、平成25年度は平成24年2月に実施した「質的調査データの管理・保存に関するアンケート」調査の結果をもとにした学会シンポジウム報告をおこない、「リサーチ・ヘリテージ」に関する事例調査に取り組み、20世紀後半の半世紀にわたる質的調査資料の実際を精査した。3年間の調査取り組み成果は平成25年度末に『質的データ・アーイヴ化とリサーチ・ヘリテージ』という表題で研究成果報告書にまとめた。本研究は今後、信頼性のより高い質的社会学研究の基盤を固めることに意義のある基礎的な成果を出せた。
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Research Products
(10 results)