2011 Fiscal Year Research-status Report
組織変動と社会変動の関連に対する組織デモグラフィー的接近
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23530634
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
高瀬 武典 関西大学, 社会学部, 教授 (90187956)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 組織 / 組織デモグラフィー / 組織生態学 / ソウトウエア産業 |
Research Abstract |
今年度の目標としては(1)過去の事業所・企業統計調査の整理・基礎資料の作成、ならびに(2)現時点におけるソフトウェア受託開発業の企業情報に基づく従業員数変動・取引先ネットワークの分析に着手する予定であったが、東日本大震災の影響を受け、研究代表者の所属校(関西大学)において急遽、日本社会学会大会の開催を引き受けることとなり、研究代表者が開催委員長として異例の短期間での開催準備ならびに実施・残務整理等に従事することとなった。そのため研究計画について大幅な変更を加えざるを得なくなり、今年度は理論的研究に特化し、データ分析のための資料購入ならびに整理・分析作業は次年度に集中して行うことになった。 今年度中に既存の組織社会学の文献、とくにHannan,Carroll&Polos(2007)"The logic of Organization theory"の批判的検討を中心に、「社会構造」ならびに「組織構造」概念の経験的研究における操作化のための視点の精緻化に努めた。また、ドラッカーをはじめとする経営学や、富永健一・ベック等の社会学理論が扱っている資本主義社会の新しい変動傾向と、本研究のテーマである組織のデモグラフィックな変動との間の関連付けを進めるとともに、Blau(1977)"Heteroneneity anb Inequality"が開拓した、社会構造内の人員配置原理にもとづく演繹理論体系を組織論に適用するための考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災の影響による学会大会開催校引き受けならびに開催委員長としての業務負担という予期せぬ状況を生じたため、研究計画のなかで、集中的なデータ作業ならびに集中的な統計分析を次年度以降にまわさざるをえなかった。そのため計量分析の部分について遅れが生じているが、文献レビューならびに社会変動の基礎理論の検討等については前倒しで検討を進めた。また、平成24年度前半に、当初の計画で23年度中に整備する予定であったデータを23年度時点におけるデータも含めて集中的に整備分析する予定であり、3年間全体にかかわる進行としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の計画と次年度の計画との間で、理論枠組みの整備とデータ分析の前後関係について当初の計画と一部組み換えが必要になったが、次年度終了時点において、当初の計画と同じ状態に落ち着く予定である。 次年度には企業組織に関するミクロ・マクロ両方のレベルからのデモグラフィカルな分析を進め、地理的位置や取引関係と、組織の動態の関連について研究する。最終年度には、平成24年経済センサスのデータが公表される予定なので、その情報も含めて最新の状況における日本の企業組織の成長・衰退のメカニズムについて数理モデルを設定して分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述のように、今年度は東日本大震災の影響により、日本社会学会大会を開催予定であった早稲田大学より、開催が不可能になったとの通告が学会に行われた。それを受けて日本社会学会より関西大学に対して急遽今年度大会開催をひきうけるよう要請があり、困難が大きな状況ではあったものの学会大会中止という未曾有の事態を避けるためあえて関西大学が受諾することとなった。また諸般の事情によりやむをえず研究代表者が開催委員長を務めることとなったため、当初の研究計画を大幅に組み替えざるをえず、今年度の研究費の大半を次年度に使用する計画に変更した。 今年度の残額については、次年度申請の物品費とともに、企業の新設・倒産・取引先変更・主要な製品の動態を分析するための日本のソフトウエア受託開発業データ、ならびに多数の業種の企業の新設・存続・倒産のマクロ集計に関するデータの購入にあてる。 旅費を用いて、日本各地のソフトウェア開発企業ならび業界団体を訪問して経営戦略と企業立地の関係を中心にインタビュー調査を行う。また、平成25年2月に予定されているInternational Society for Professional Innovation Managementのシンポジウム(於 ソウル)で現状までの分析結果に関する研究報告を行う。 謝金を用いて、アルバイトの助力を得て経済センサスに関する既存の統計資料ならびに上述の購入した企業データの整理・分析計算を行う。
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